アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
お父さんお母さん
-
そんな思いが琴音の心に芽ばれ始めた時、遺骨を引き渡してくれた優しそうなお姉さんが憂いを宿した瞳で教えてくれた。
『‥発見された時はもう骨の状態だったんだけど、あなたのお父さんがお母さんを守るように覆い被さるように発見されたのよ』
「‥っっ…!!!!」
それを聞いた瞬間、琴音は遺骨を思わずギュウっと抱き締めた。
(ああ、俺のお父さんとお母さんだ‥!)
父は母をとても愛していたし母も父を愛していた。
それは琴音が幼少だった頃からわかるほど、両親はいつでもお互いを愛し愛に包まれていた夫婦だった。
その愛情は琴音にも向けられて琴音は一度も親の愛情を疑ったり不安になったことはない。
いつも愛が溢れていた。
家に帰ればそこにはいつも陽だまりがあった。
両親がいつも抱き締めてくれた。
それが当たり前だと思っていた。
それが永遠に続くものだと信じていた。
それが当然に終わりを迎えるなんて予想さえしなかった。
(最後までお父さんはお母さんを守ったんだね…)
最後まで母を守った父。
最後まで父の愛に包まれていた母。
最後の最後まで二人は愛を貫いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
35 / 219