アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
泣きたい
-
親の死と受け入れたと同時に、
両親のお互いを愛する気持ちを心で感じてしまった琴音は今すぐにも声に出して泣きたくなった。
でももう自分には泣く場所はない。
ずっと琴音が泣く場所は両親のどちらの腕の中だった。
優しく琴音の髪を撫でながら泣きたい時は思い切り泣きなさい、と優しく抱き締めてくれた腕はもうどこにもない。
(…ここでは泣きたくないっっ…!!)
ふと日差しが差し込んできて琴音を照らす。
琴音はそこに視線を移すと小さな出窓があった。
空は雲一つない晴天。
しばらくの間、空を眺めていた。
(‥空のもっと上に天国ってあるのかな……)
天国が本当にあるのか琴音にはわからない。
でもあってほしい。
きっと天国が今の両親の居場所だから。
だから天国っていうのを信じたい。
(‥天国でお父さんとお母さんが二人で笑っていてほしい…)
毎年大晦日は家族と過ごすのが当たり前だったのに今年の大晦日の日は友達と過ごしたい、と遠慮がちに言ったら両親は笑顔で許してくれた。
優しかった両親。
数え切れないほどの愛をくれた。
思い出すのは笑顔ばかりだ。
(お父さん、お母さん…っっ!!)
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
36 / 219