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一億
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ほとんどテレビを見ない琴音でも飛鳥のシーエムを知っているぐらいなのだから、世間の認知度も高いはずだ。
「パパから、今日は一億までならつかっていいって言われてるの。だから一千万とか言ってないで、一億すべてあげるから真貴についてる悪霊をとって」
(い、‥一億っ!?)
この額に琴音は愕然としてしまう。
普通の高校生に一日で一億をつかっていい、という親も親だが、高校生の身分で躊躇もなく、いとも簡単に小切手に十三桁の金額を書く舞も舞だ。
(……。これって現実か‥?…だって一億円だぞっっ!!)
琴音は現実逃避したくなる。
どれだけの人が億という額に夢を見ているか…。
夢を見ているからこそ、億なんて額を聞くのも宝くじ売り場のスピーカーからしか聞いたことない。
自分は所持金ゼロ。
目の前にいる女子高校生は一億という額を一晩で使おうとしている。
(これが格差社会ってやつですか‥?)
琴音は大きな嘆息をついて遠い目をする。
「はい、書いたわ」
金額を書いた小切手を翠に渡そうとすると、真貴がその小切手を取ろうとする。
「なぁ、俺は大丈夫だからその小切手、俺にくれな…、」
「乗り気ないな」
と、京が真貴を遮って呟く。
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