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信じたい
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あの笑みを思い出すだけで、なぜか優典の胸が温かくなってきてしまう。
そして宇榮原のあの笑顔を信じたい、と心から強く思うのだ。
「お前は探偵気取りか」
弓木が嘆息交じりで突っ込む。
「ああ!名探偵明日真って呼んでくれ!自慢じゃないが俺の直感はよく当たる!」
「‥その直感を信じて確たる物証を出すのが、名探偵だろう?」
「あいつの胡散臭い笑顔が、何よりも証拠であり物証だろ!!」
「駄目だわ、お前…」
「あぁ?喧嘩売っているのか!?喧嘩なら買うぞ!」
「ハァァー。お前、やっぱりバカだわ…」
「ああっ?俺のどこがバカっていうんだよっ!?」
「…あ、あのさ!とりあえず僕は子供達のご飯作るね」
優典が遠慮がちに二人に言ってみたものの、二人には聞こえないみたいだった。
子供達以外のお客がいないので、二人のことはしばらくほっておくことにした。
優典が厨房に入り、子供達の注文を一気に作り上げるために三つのコンロに火を入れる。
料理を作りながらもふと視線をドアにやる。
(いつか、宇榮原さんが来てくれるといいな‥)
こんな風に誰かを待ち遠しく想うなんてカフェ・リノの店長になって初めてのことだった。
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