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暗黙ルール
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「本当は店長が店に入る十一時にケーキを持ってきても三時には十分間に合うんです。でも早めに来るのは、ご近所さんのためなんです」
「‥え?」
「店長が働いている時はああやって店から抜けられないから。だから定休日以外は店長が開店前から来て、ご近所さんのお助け役しているんです。急用以外で店長に用がある人は開店前に来ること。それがこの店とお客様との暗黙ルールなんです」
「へぇー」
「まぁ、俺もはじめは、ああやって売り上げを伸ばすためにしてるのかなー、と思っていたんですが、売り上げだけのために、あそこまで出来る人はいないです」
弓木が笑顔で言う。
「あれは店長の人格が為せる業だとわかりました!だって売り上げのためだったら、俺らをタダで住まわせて光熱費から食費まで出してくれないでしょ?こうやって時々バイトの俺達のためにケーキまで焼いてくれる。ここまでしてくれる人はいません」
「‥そうだな」
売り上げのためにやっているなら、いつか偽善に疲れて本性が出てしまうだろう。
それに売り上げのためなら、ここまでバイトの子達に尽くさない。
宇榮原は、優典と出会った瞬間に、優典という人間になぜ惹かれてしまったか、理由がわかったような気がした。
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