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気分
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でも懸命に小さな身体で戦っていることに、肉体的にも精神的にも限界に達しそうだった。
「ごくたまに看護師さんが車椅子でほんの少しの時間だけ僕を散歩に連れていってくれるんですけど、僕は散歩中もずっと下を向いて、瞳を閉じたままだったんです…」
外に出ても自分にとって、怖いものがあるような気がして。
だから瞳を開ける勇気がなくて。
自然を感じる余裕なんてなくて、ただ恐怖に怯えていた。
恐怖しかなくて、空から光が射すなんて知らなかった。
「だけどある日少し体調が良くて。なぜか気分も良かったんです。体調が良かったことは覚えているんですけど、なんで気分まで良かったのかまでは覚えてないんです‥」
久々に瞳を開けたら、天井にシミがあって、それが面白かったのだろうか。
それとも自分の身体に纏わりついていた配線が一本なくなったのが嬉しかったのだろうか。
病院で出たおやつが美味しかった、そんな子供らしい理由だっただろうか。
それとも単に体調が良かったことが嬉しかっただけだろうか。
今となってはもう思い出せない。
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