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「その日は看護師さんに、優典くん今日は楽しそうね、って言われたのを覚えています」
看護師さんもなぜか嬉しそうで、その看護師さんの笑顔で優典の気分も、余計に高揚したのを覚えている。
「その日は散歩する日ではなかったんですけど、看護師さんの計らいで特別に車イスで散歩させてもらったんです」
優典はゆっくり瞳を閉じる。
「その時、心に少しだけ余裕があったみたいで勇気を振り絞って瞳を開けてみたんです。そしたらキラキラしたものが降ってくるんです。不思議に思ってキラキラしたものを追うように空を見上げたんです」
優典はゆっくりと瞳を開ける。
あの時、見上げた空より今の方が近い。
それだけ優典が元気に成長できたということ。
だけどあの時と空の蒼さは変わらない。
あの時と同じ蒼さ。
どこまでも続く青空。
穏やかに流れる雲。
見上げた空はあまりにも広大だった。
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