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笑わないとダメ
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「そんなおじぃちゃんが急に店を閉めたんです…。常連さんをはじめ僕も驚きました。だって本当に何も聞かせられていなかったし。おじぃちゃんの財産は僕のものになっているし…」
祖父が取った突飛な行動に優典はかなり驚かされた。
「でもカフェ・リノが急に閉まって常連さん達にこんなにも愛されてるんだって再確認しました。毎日、僕に聞いてくるんです。もう本当に閉店しちゃったの?あのコーヒーは飲めないの?おじぃさんは元気なの?って…。その時にこのカフェは皆に愛されるカフェだったんだな、って…」
優典は小さく笑顔を作る。
「ここのマンションに五歳ぐらいの男の子が住んでるんです。その男の子もよくお店に来てくれて、その男の子からおじぃちゃんからよくおかしもらったとかおもちゃくれたとか、オレンジジュースが大好きなんだ、って僕に話してくれたんです」
優典の笑顔は優しくなる。
「その笑顔が幼かった自分と重なり合ったんです…。本当にカフェがなくなってしまったんだな、って思ったら知らずに泣いてしまっていたんです。…僕にとってこのカフェに一番の思い出があるから」
宇榮原と明日真は何も言わずに、ただ話に耳を傾ける。
「男の子はお店がなくなったことをわかっているのかわかっていないのか。その男の子が僕の涙を拭きながら、「泣かないで。泣いたら僕も悲しいし、きっとおじぃちゃんも泣いちゃうよ?おじぃちゃん、ゆーすけくんの笑顔が可愛くて一番好きな顔なんだ、っておじぃちゃんが言ってたよ?だから僕も友達と喧嘩せずにずっと笑っていたら、それでパパとママは幸せなんだよ、っておじぃちゃんが言ってたんだよ?だからゆーすけくんも笑わないとダメなんだよ」って言ってくれました」
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