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勝てるはずがない
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「勝てるはずがない」
「え?」
「こっちは利益優先で、どうすれば一円でも多く利益が出るか、一店でも多くのチェーン店を出せるか、それしか考えてない。客の笑顔が見たいなんて、嘘でも上から聞いたこともない」
宇榮原を大きく嘆息をついた。
「クレームが来たら、客が満足するだけ頭を下げ続ける。腹の底ではうるせーな、って思いながらも。頭を下げたら済むと思っているんだ。ひたすら謝れ、ってマニュアルに書いているんだぜ?なんでクレームが起きたのかさえ考えようとしない」
宇榮原は抑揚なく言葉を吐き出す。
「客=金なんだ」
宇榮原の瞳が少し揺れているような気がするのは、優典の勘違いだろうか。
「俺は新人社員で密偵なんてさせられているけど、俺がカフェ・リノには勝てません、って言ったら、そんなことはない!の一点張りで、しまいにはチラシをまいて嫌がらせ。どれだけ幼稚な会社なんだ。自分達の悪いことに一切見向きもしない。…そんな店が、客の笑顔のためにしている店に勝てると思うか?死んだおじいちゃんの意思をついでさ」
宇榮原が天を仰ぐ。
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