アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
敵わない
-
「ああ…、俺もお客様第一主義なんて言葉だけじゃない、こんな店に勤めたかったな…」
宇榮原は天を仰いだまま、一人言のように呟いた。
「ああ、わかった。勝てねぇんじゃなくて、敵わないんだ…」
少し沈黙が続いた後、優典が申し訳なそうに口を開いた。
「‥あの…、宇榮原さん。…ものすごく言いにくいんですけど、おじいちゃんは死んでないです…」
「え?」
驚いたように、宇榮原は優典の顔を見る。
「おじぃちゃん、外国に旅行している時に在日の未亡人の人と出会って、そのまま結婚して帰ってこなくなったんです…」
優典が言いにくそうに少しだけ小さな声で喋る。
「どうも僕がこの店を引き継ぐのをおじぃちゃんは、すべてお見通しだったみたいで、だからすべて僕に譲ってくれていたみたいです…。うちのおじぃちゃんは陽気な人なので、皆に店を閉めることを伝えたら、しんみりされるのが嫌だから、何も言わずに急に店を閉めたみたいなんです」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
86 / 100