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コーヒー
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「宇榮原さん、ここのコーヒー飲んで、顔を顰めましたよね?」
宇榮原が小さく頷く。
「いくら不味いといっても、あれは通にしかわからない不味さなんです。あまりコーヒーを飲んだことがない人なら、不味いとは感じない品物なんです」
それだけ祖父の腕が良かったから、通しかわからない不味い味を出せた。
その腕をもっと違う方向にいかせば、世界一の美味しいコーヒーが作れたかもしれない、と優典は思っている。
あの陽気な祖父のことだ。
通にしかわからない不味いコーヒーを作るのが、楽しくて仕方なかったのだろう。
そういう祖父なのだ。
「もちろんカフェ・リノには、美味しいコーヒーも商品としてありますけど。最近はもっと美味しいコーヒーがあると思います」
カフェ・リノにある美味しいコーヒーは、少しクセがあるがまろやかだ。
「この味を昔から飲んでくれている人達が多いので、この味が一番美味しいって言ってくれます。これもおじぃちゃんがこのお店で築き上げてくれたおかげです」
優典一人でここまで常連さんをつくれただろうか。
いやどう頑張ってもつくれない。
偉大な祖父がここまで築き上げてくれたから。
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