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彼という男はー 【出木のび】
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「太宰治はやっぱり良作を出すな。次は『女生徒』でも読もうかなぁ。」
僕はたった今読み終わった『人間失格』を勉強机にそっと置き出かける準備をしていた。
ーーガチャ。
ううっ、寒い。もっと厚着で行けば良かった。
そんな後悔をしても歩き出したからには行くしかないのだ。その時だった。
「待ってよぉ〜 ジャイアン!!こんな寒い日に野球なんて…。」
弱々しい声が前方から聞こえてきた。
あれは…野比くんじゃないかっ!
同じクラスで少し鈍臭いという特徴がある彼に僕は少し興味を持っている。彼は色々と行動が面白いのだ。あの様子じゃ剛田君達に無理矢理参加しろと言われたんだね。可哀想に…。
「寒いからこそやるもんじゃねぇか!それとも何だぁ?俺様の言うことが聞けないっていうのか!?」
「ジャイアン、のび太が参加してもどうせ負けちゃうよ。」
「しょーがねぇじゃねぇか!人数1人足りないんだからよォ!のび太この試合で負けたらどうなるか分かってんだろなァ!!」
野比くんには悪いけど骨川君の言う通りだと思う。僕的には試合に出ない方がいいと思うけど…。
「負けるかなんてやってみないとわからないよ!スネ夫見てろよ、今日の僕は何かとついてるんだからなっ!」
「今日ののび太は根性があるな。よし、俺様がみっちりアドバイスしてやる!」
やはり彼は面白いよ。
小さく微笑みを浮かべていると、前方から大きく手を振っている野比くんが僕の名前を連呼している様だった。
__たまには野球を観戦するのもいいかもね。
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