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#1
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▽キヨside
レトさんから受け取った小瓶を
そっと人差し指と親指で摘み上げて、じっくりと観察。
正直、これっぽっちも信用してない。
照明の光にかざすと、いい感じのピンク色に見える液体。
少し赤みがかってて、俺の髪色にめちゃくちゃ似てる。
「……で、これがほんとに媚薬なの?レトさん」
隣に座って不思議とニコニコしてるレトさんに
そう問いかける。
まあそりゃ、今動画撮影中だから愛想笑いぐらいするか。
ここで真顔なのは俺ぐらいだわ。
「そうそう、媚薬。
えーっとね、ちょっと待って…説明あるから……」
4つ折りにされた薄過ぎる紙を取り出し
レトさんはゴホンと1つ咳をしてから
「そこのアナタも、えー、これを飲んじゃえば
も……もう…ww」
「ーーいやおいおい!!気になるわ!!ww
その紙に書いてあんだろ!!!」
その横で説明書片手に意味深に笑うレトさん。
気持ち悪過ぎだろ…
ま、いーや
その隙に…と思いバッと説明書を奪い取ってやった。
手に持って見てみると、本当に薄っぺらい。
怪しいにも程があるわ。
表紙なんて
[そこのアナタもこれを飲んじゃえば、もうとろとろ♡]
と、これまた気味悪いキャッチコピー。
何でこんなもん、通販で頼んだんだよレトさん…
そりゃ動画のネタ用だって分かってるけどさ、
まさか本当に頼むなんて思わねぇよ?
どうせ見てもろくな内容が書いてないな、これは。
俺の脳がそう言ってる。
「んで、どっちが飲む?何かして決めよーよ」
動画は間を空けたくない、
真面目な俺は小瓶の観察は止めて、話を振る。
「えぇ、瞬発力がいるゲームはやめてよ」
やたらと不満げな顔をして反論された。
……しょうがねぇなぁ。
「…俺は優しいのーでね?
じゃんけん3本勝負としてあげましょう!!」
「あ、運勝負なん!?」
ふっふーん、俺の寛大な心に驚いてるだろ?
ま、今回だけだけど。
「さ、やるぜレトルトぉぉ!!!」
「お、おお!!!勝負じゃ!!」
「…っはww じゃ、ってww」
「いちいちツッコんで来ないでくれん?!」
…………
結局、3本勝負にはレトさんが負けた。
明らかに飲みたくなさそうな雰囲気を醸し出しながら、
レトさんは床に倒れ込んでいた。
まるで刑事ドラマで殺された人みたいに、バッタリと。
はぁーん、どうせ俺が勝つ運命だったって訳だな?
ざまぁみろ!!!
「ほーら!一気!一気!!」
「隣のガヤがうるさ過ぎない?ねぇ~
その手拍子もさぁ、やめてって…
んあーもう……」
そうは言いつつも、
ゆっくりと"殺人事件の被害者"は起き上がって
瓶のコルクを外した。
キュポンッと、蓋が取れるいい音と共に
バニラのふんわりとした香りが段々と漂ってくる。
……ちょいキツイ匂いかも。
俺苦手だわ、無理無理。
「よっ…」
腰に手を当てて、レトさんは飲み始めた。
お、意外にもゴクゴク飲んじゃうもん…?
レトさん、度胸あるわ~ホラゲ実況の時以外は。
そうやって媚薬を飲み干していく音が、
いやに静かな部屋のせいでよく聞こえる。
…あー綾鷹飲みたくなってきたわ。
ビールCM見たら1杯やりたくなるノリで。
机の端に置いてあった、飲みかけのペットボトルへと
手を伸ばし、まだひんやりとしているキャップを空けて
綾鷹を飲んでいく。
……っぷへー綾鷹最高過ぎか!!
「どうよ、そっち…は……?」
…んぁ?レトさん、まだ飲みきってなかったのかぁ。
少し苦しそうに見えたりもする。
横目で見た先にいたレトさんは
まあようやくと言ったところで、媚薬を飲み干した。
顔色は別に悪くなってないし、まず大丈夫…なのか?
「お、大丈夫?レトさんよぉ?」
「……んま、甘ったるいわぁ、これ」
「…………え、んとーそれだけ?」
「うん、特になーんも無いよ」
飲み切った瓶を持ち上げて揺らしながら
レトさんはケロッとした顔でこちらを見ていた。
「……っはぁー!!?何だよ、何もねぇのかよ!!」
「キヨ君うるっさい!!
後で効くヤツかもしんないじゃん!」
「んあ、そうなの?」
「んー……じゃない?俺的には効かない方が嬉しいけど。
一応効くまで待ってみようよ、数分」
…俺の心配の様なものは無かった事にして。
レトさんに「13日の金曜日とかさ、楽しいじゃん」
と言われたもんだから
2人で"13日の金曜日"をしつつ、何分か待つ事にした。
一応カメラは回しっぱなし。
媚薬効いてきたら、動画に使いたいし。
……結局は、何にも起こんないだろうけど。
俺は鼻っから信じてないしさぁ~あんなもの。
床にいつの間にか落ちた説明書を、
無意識の内に、空いている左手で拾い上げて
指先でススーッとめくっていく。
適当に書かれた少な過ぎる情報。
どうせ嘘ばっかりのページ、飽きるわ。
あ、そういやレトさんさっきから喋ってないけど
どうしたん……
…は、何これマジンコ?
え、状況が理解できない感じなんですけど……
焦りと動揺が冷や汗になって、俺の頬を流れる。
室温24度の涼しい部屋。
それなのに俺が見たレトさんの顔は、
赤く火照って息が荒かった。
発情でもしてんの?ってレベルで。
媚薬を飲んでた後だから、余計にそう考えてしまう。
そして思わず、その視線を下に向けてしまった。
「…おーいキヨ君!?! ハァ…
よそ見してないでよ、ちょ!!
ッハァ…ジ、ジェイソンに捕まってんじゃん!!」
ぶわっと顔が熱くなっていく。
「っあ、ご、ごめ…」
ジーンズの上から見ても分かる程に
レトさんのソレは勃ってしまっていたから。
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