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Ⅲ
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たくさんあったディスクの中から⑩を見終わった頃。
俺の身体に異変が起き始めていた。
織部の声を思い出すだけで、体が熱くなってきた。夏の暑さ、で言い訳が出来ない程に。
風邪でも引いたのか。そう思った俺は風邪薬を飲んで登校した。
いつもなら、ただぼーっとしながら授業を聞いているだけだけど……。
おかしい。体が熱い。何だか意識が飛びそうだ。
俺の様子に気付いた一木が手を挙げた。
「せんせー!志賀が具合悪そうなんで保健室連れて行っていいですか?」
「大丈夫か、志賀」
先生が近付いてくるのが分かる。そして、俺の肩に触れようとした。
俺はとっさに先生から離れた。先生は驚いたように俺を見ていた。俺も、何が起こったのか分からなかった。
一木が手で口と鼻を押さえていた。よく見れば、先生も皆も一木と同じようにしていた。
……マズイ、やらかした。ここまでされて、俺はようやく自分の身に起こった事を知った。
ヒートだ。くそっ、今までなかったはずなのに……!
今までベータと同じだと思ってたのに、それも崩れた。俺は他のオメガと変わらないんだ。
「志賀」
誰も動けない中で、一木が俺のそばに来た。さっきまで鼻と口を押さえていたはずなのに、と思ったら。
鼻にティッシュ詰め込んでいた。なんつー残念な顔だ。
アルファ様の恵まれた美貌が台無しだ。思わず呆れていると、一木は俺に肩を貸した。
「んじゃ、せんせー。志賀と保健室にいってきまっす!」
「あ、ああ」
身体がだるくて、とても重い。ヒートだと自覚したら、尚更重くなったような気がした。
「もーちょいで保健室だから!」
「おう……」
よろよろとしながら保健室に着くと、保健室の先生までもがマスクをしてにっこり出迎えた。
「物凄いフェロモンだね。何年生?」
「三年でっす!せんせー、志賀をお願いします!」
「分かりました。授業に戻りなさい」
「はーい」
一木は俺をベッドに寝かせると、授業を受けに教室へ戻った。
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