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Ⅳ
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俺は一木の方を見た。一木も俺の方を見ていて、とても困ったような顔をしていた。
「どうするよ?志賀」
「バイト休みとか言ったら辞めさせられそうだよな……」
「この間から休みがちだしな」
俺達の会話を聞いていた織部薫はきょとんとした顔をして俺を見ていた。
「あれ、君バイトしてたの?オメガってバイトしないものだと思ってた」
「失礼ですね」
オメガの就職が難しいからって馬鹿にしてんのか。
俺は織部の弟とはいえ、この男が嫌いになっていた。
織部なら……きっとこんな事は言わない。
「ごめんごめん、僕の周りは皆バイトしてなかったからね」
「オメガでもバイトくらいします」
「だからごめんって」
軽く謝りながら織部薫は、俺の肩をバシバシと叩いた。地味に痛い。
やっぱり嫌いだ、この男。織部、あんたの弟無理。
口に出さないようにしながら考えていると織部薫は「じゃあ僕が説得するよ」なんて言ってバイト先を聞いて来た。
「嫌です。一木、絶対言うなよ」
「えー、何で。この人お前が持ってるディスク確認したいだけじゃん」
「俺この人嫌いだから」
ついサラッと言ってしまった。気付いて、恐る恐る織部薫の方を見る。
これはさすがにマズイだろう……、どうしよう。怒ってないといいけど。
ところが、織部薫は正反対の反応を返した。
「……っは、ははは!僕が、嫌いだって!?どうしよ、オメガの子にここまで言われたの初めてだ」
「は?」
やっぱりこの人嫌いだ。訳分からない。オメガでも嫌いなもんは嫌いだろう。
オメガの前に俺は人間だ。好き嫌いくらい当然ある。
「君、やっぱり兄さんに気に入られそう。僕と兄さんは好みが似ているからね」
そう言った織部薫の顔が、映像の織部にそっくりで。
ちょっとだけ、胸がときめいたなんて。絶対にありえない。
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