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Ⅸ
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俺の志望大学の合格発表があったので見に行くことにした。
俺と一木の志望校は違うので、一木はそっちを見に行くと言っていた。
「……俺の番号は、と」
合格したとか、落ちたとか。掲示板の前はとても騒がしくてまるで祭りでもあるかのようだった。
その中を通り抜けて、掲示板を確認する。
俺の番号を探していると、隣の男が「ない……!」と絶望したような声を出していた。
どうして、と嘆いているのが聞こえたがそんなのはただの努力不足だ。
俺は「これだからオメガは」と言われるのが嫌で勉強しまくった。最低限大学に受かる程度の知識は身に着けているはずだ。
普段オメガを馬鹿にする奴の、オメガに負けて悔しがる顔も見たかったし。
「あった」
俺の番号はきちんと間違いなくそこにあった。あるはずだと思っていても、やっぱり受かると嬉しい。
ちょっと浮かれながら帰り道を歩いていると、車が近くに寄ってきた。
「こんにちは」
「……?」
車の窓を開けて男達が話しかけてきた。いまいち俺に言ってるのか?と自覚がなかったので男達を見つめていると、そのまま話を続けてきた。
「ちょっと道に迷っちゃって。教えてくれないかな?」
「は……?」
この大学の近くはあまり来た事がない。俺も詳しい訳じゃないので、断ろうとした。
すると男達は、「じゃあ〇〇駅までは分かるかな?」と言ってきた。
その駅までは近いし、俺もその駅から電車に乗って帰るつもりだったので教えようとしたが。
「志賀くん!」
岡本さんの声が聞こえて振り返った。岡本さんが焦って走ってきているのが見えて、何をそんなに急いでいるんだろうと考えていた。
だが、何かあったらしい。車の男達が「やばい」とか言って急発進して逃げていった。
「……岡本さん?」
「逃がしたか……」
車の逃げた方を睨みながら、岡本さんが呟いた。それから俺の方を見て安心したように笑った。
岡本さんがどうしてここにいるんだろう。あの男達を岡本さんは知っているのだろうか。
いろんな疑問を浮かべながら、俺は岡本さんの顔を見上げていた。
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