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「ここが雪人の部屋だよ」
薫の家だというマンションに連れて来られ、とても広い部屋に通された。
俺の部屋だと言うその部屋は、俺の家の部屋よりも広くて同じ家具を置いているはずなのに何だか見覚えのない所に来たような感覚だった。
「……俺の部屋、ね。あんた、俺が怒らないとでも思ってるワケ?」
「思っていないよ。強引な手を使ったのは謝る」
「強引すぎだ。アルファ様はオメガをいつでも思い通りに出来るとでも思ってんのか」
「僕は思ってないよ。特に雪人はね」
嘘くさい。これだけの事をされて、信じられると思ってんのか。
それでも薫は笑っていた。俺の怒りですら、楽しんでいるかのように。
「雪人、君は僕を選んだ。本当に嫌なら言えばよかったのに。御両親に泣きついて、僕が本当の「運命」じゃないって」
「……」
それを、しなかったのは。確かに俺が選んだからだ。
母さんの嬉しそうな顔、父さんの幸せそうな顔。それを壊したくなかったからだ。
「雪人、僕は君を不幸にはしない。君を支えたいだけだ」
「……でも、今回はやりすぎだろ。俺の意思を無視して、まるで俺がアンタの駒みたいだ」
「そんな事ないよ」
薫の顔は笑っていたが、背中にゾクッと嫌な感じが走った。これを悪寒というのだろうか。
やっぱり、薫は怖い。怖くて、嫌いだ。
「大学の送り迎えとかもやるから、気軽に呼んで」
「は?いらねえよ。そんなの」
「今は危ないからねー。僕に甘えておいた方がいいと思うけどな」
今日は薫が嫌いだと再確認した日だと思った。
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