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翌日、大学の求人情報が貼ってある掲示板をいつものように確認していた。割のいいバイトを探すためだ。
で、ちょうどいいバイトを見付けた。
「家庭教師、ね」
「お、何々?志賀ってば家庭教師やるの?」
後ろから肩を組んできた友人に「暑い、引っ付くな」と返して肯定する。
早くあの部屋を出たい。俺が、おかしくなる前に。
「なら、俺の親戚の家庭教師やってくれね?」
「は?」
「いやー、誰かいないかって親父から頼まれててさぁ。親戚のトコにアルファっぽい男の子がいるんだけど、これがあんまり頭良くないらしくって家庭教師探してんだと」
アルファは「優等種」だ。エリートである彼らは、何をするにも注目される存在だった。
そのアルファが成績悪いのは恥ずかしい事、らしい。よく分からんが。一木は成績悪かったからな。
「時給は?」
「割と高いと思うぞ」
正直飛び付きたくなる位うまい話だが、こういうのには大抵裏がある。
「……何で俺?アルファっぽいんだろ?俺がオメガなのはお前も知ってるはずだろうが」
「お前、アルファ嫌いだろ。それに珍しいんだけど、親戚の家はむしろオメガの方が上だと考えてるから」
本当に珍しかった。友人の頭の中を疑うくらいには。
口止めとかで高いのかと思ったのに。
「あんまり気にせずに行けるけど、どう?」
「乗った」
まだ裏があったとしても、金を稼ぐのが先だ。
今のところ、デメリットはほとんど無い。これ以上の好条件を他の求人で見つけられるとは思えない。
俺が、オメガだから。
「言うと思った。じゃあ、親父に言っとくわ。家は後でメールな」
「分かった」
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