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吐きたくなるほどの
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今日も俺は家庭教師をしなければならない。周期的にはそろそろヒートが近付いているので、念の為に薬を飲んでいた。無理矢理ヒートを抑える薬だから、副作用は勿論ある。
服用しなくていいといつも薫は言う。だけど自分がオメガであり、薫が「運命」じゃない以上、絶対に飲む必要があった。
高校の頃は織部の事も知らなかったし、ヒートが一切来なかったので薬に頼る事なんて全くと言って良い程無かった。
ちなみに、「「運命」が居る以上体に負担のかかる抑制剤は良くない」とどこかのお偉いさんが言ったらしく、オメガ用に販売されている薬はどれもヒートを一日抑える程度の軽い物だ。相性次第では全く効かない。
後は「運命」とよろしくヤれって話だろう。
だからあの日、全くヒートが来ないのはおかしいと一木に引っ張られて検査した。
後から一木に聞いたが、アルファ用は一時的にオメガのフェロモンをシャットアウトするものらしい。何かそういう器官を鈍くさせる麻酔みたいな物なので、常用していても効きにくくなるだけで別に害は無いんだと。
結果、アルファの薬は安いけどオメガの薬は高い。そして、副作用もアルファ用よりオメガ用の方が大きい。
体質の違いってのは理解していても、この格差に腹が立つ。でも、今更言っても仕方ない。実際、半分はこの薬のおかげで今までヒートにならずに済んでいる。
「遼くんに、迷惑を掛ける訳には」
あの子はほぼアルファだと言われているし、俺も彼はアルファだと思っている。だからこそ、彼との距離も誤ってはいけない。
薫との関係も間違いかけているのに、あの子まで間違える訳にはいかない。
外に出て、遼くんの家へと向かう。べったりとした暑さが気持ち悪かった。
早く終わらせて、出来るだけさっさと帰ろう。
「先生!」
「こんにちは」
いつもはその素直さが可愛いと思うのに、今日はとても近くに寄るのが怖かった。
「あれ?先生香水つけてるの?バニラみたいな匂いする」
ああ、恐怖で吐きそうだ。
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