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言う事を聞かない体が
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――――駄目だ、動きたくない。ダルい。
俺の体調は悪化していた。昨日までは、織部のディスクを再生させるだけの気力があった。
だけど、今の俺にはその体力も無い。ボーっとしてきた頭でぶっ倒れているだけだ。
ついでに暑い。冷房をどれだけ効かせても足りない。暑い。
なんか、ヒートみたいだな。ぼんやりと恐怖していた事を考える。
「ヴェ、ッ」
口の中に酸が広がる。まずい、吐く。
力を何とか入れて、口を押えながらトイレに向かう。
トイレの中は冷房が効いていないから熱気が溜まっている。更に気分が悪くなって、座り込んだ。
胃の中の物を全て吐いているのに、体はまだ残っていると吐き出そうとする。
酸の匂いにつられているのだと思うけど、目の前はチカチカと点滅してるし訳が分からない。
「雪人?」
人の声がする。誰、だっけな。それより気持ち悪い。
足音がして、俺の背中が擦られた。温かい手だった。
「雪人、具合悪い?大丈夫?」
大分落ち着いたなと思ったのに。ソイツの体からは、俺じゃないオメガの匂いがした。
甘ったるくて気持ち悪い。俺の体が更に吐き出そうとする。
「僕の声、聞こえてる?ちょっと待ってて」
声のすぐ後に、換気扇の煩い音がした。匂いがかき消されて、段々と吐き出そうとする衝動が収まっていく。
ぐったりとした俺は、傍にいる誰かの服を握った。誰だ、コレ。
ソイツはゆっくりと俺を動かして、洗面台に連れて来た。コップに水が入ってて、うがいするように言う。
二回ほど繰り返すと、視界がハッキリしてきた。織部に似た顔で分かる、薫だった。
「……おかえり?」
「暢気に言ってる場合じゃないよ、雪人。びっくりしたんだからね」
その後冷房が入れられたリビングへ連れられ、ソファーに座った。
肘掛けに寄りかかっていると、水の入ったコップを渡された。
「はい、飲んで。水分補給」
「ありがと」
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