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悪夢Ⅲ ※R
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グリグリと執拗なほど、中を擦られているのが分かる。
分かりたくもなかった。知るつもりなんて、一つも無かった。
「はぁっ、んっ、ぐっ」
酸欠なのか、頭がくらくらしてくる。正しい事は何だ、俺は一体。
何の為に、何の……。今まで、何の為に。
「余計な事、考えてない?」
背中にキスを落として、薫が聞いて来る。背中に触れる唇すら気持ちイイだなんて、浅ましくて認められない。
俺は、ベータと変わらない。今までも、これからも。ずっと。
悔しさに歯ぎしりして、壁につく手に力を込めた。指先一つにまで、力を。
「ねえ、雪人。君がオメガの中でも違うのは認めてあげる」
耳元で囁かれた言葉。違うオメガの匂い。「運命」とは似ていない声。
俺は怒りのままに、薫を思いっきり睨み付けた。
「お、れは!アンタの、運命じゃない!」
その言葉を、俺は決して許せない。それでいいと、妥協出来ない。
アルファの持つ傲慢さを、受け入れられない。
流されそうだった俺の思考が戻って来る。
俺がもう少し馬鹿であったら。オメガらしい、オメガだったら生きやすいだろうと。そう思う事も、無かった訳じゃない。
でも、それは俺のプライドが。周囲の視線に怯えた俺の矜持が許さなかった。
誰が許しても、俺が許せなかった。
「なら」
不機嫌そうな薫の声が、俺を刺す。薫の目は、誰よりも俺を「劣等種(オメガ)」として見ていた。
「頭がおかしくなる程、抱いてやれば。君は変わる?唯のオメガに成り下がる?それでも君は同じ事を言えるの?」
「ふざけんな!」
あまりの侮辱に、ヒートがどっか飛んで行ったのかと思った。
薫は俺の事を、本当に何も知らない。オメガを随分見くびってくれる。
あまりにも酷すぎて、憎んでしまいそうなほど。
「アルファサマが!俺なんかに惑わされてんのも傑作じゃないか!悪食すぎてもはや笑えねえよ!」
「言ってくれる」
ニヤリと悪役のように笑って見せた薫の目は、捕食者のそれだった。
俺を食らい尽くすつもりの容赦ない視線。
「君に手加減なんて、必要無かったね。雪人」
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