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悪夢Ⅳ ※R
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本能的欲求というものは、こういう事を言うのだろうか。
宣言通り、薫は俺のすべてを蹂躙する勢いで溶かしにかかった。
ここでは不便だからとベッドに移動して、体を拭く余裕もなく口の中を舌が這い回る。その間にも、一度抜かれた指がまた我が物顔で掻き回す。
鼻にこびりつくほど匂うアルファ独特の匂いと、不快な自分ではないと分かるオメガの匂い。
前者で本能のままに受け入れようと急かす俺の「オメガの本能」に押し流されそうになり、後者で生理的に受け付けられず吐き気のような気分の悪さに苦しまされる。
これが悪夢じゃなければ、何だって言うんだ。
「雪人、僕が君の唯一のアルファだ」
「ち、が……ンッ、ぐッ、やだッ!」
この他のオメガの不快感がなければ、俺はもう既に堕ちていたかもしれない。あの日感じたはずの嫌悪感がない時点で、俺には止められないと分かっていたのだから。
この不快感に縋って、貪欲に快楽を得ようとする体を押さえつけようとした。
「やだ?本当に?」
「ひッ」
後ろで掻き回す指に連動するかのように、薫の片手が上下して俺のを擦る。頭から不快感さえ消えてしまいそうで、恐ろしささえ感じる。
「腰浮いてるよ、気持ちいいね?」
「良くない……ッ!」
吐息くらいの小さな声しか出なかったからか、薫は「はいはい」とあしらった。どれだけ俺が我慢しようが、オメガのこの体は待ってくれない。
「やだ、まてッ、むり、無理ッ!」
「イきそう?」
歯を食いしばって首を振る。二度目は嫌だ、今俺の目の前にいるのは薫だと分かっているから。
薫はゆっくりと指を引き抜いた。もうすぐ極めそうだったと惜しくなる浅ましさに歯噛みして、これ以上の快楽をねだらないようにすることで必死だった。
だから気付かなかった。今まで脱がなかった薫が、服を脱ぎ始めたことに。
気付いた時には、俺のソコに熱いモノが当たっていた。
「薫、おい、あんたまさか」
「その、まさかかな」
やめろと叫ぶ前に、息苦しさで窒息するかと思った。
熱い。自分の口から、甲高い声が聞こえた気がした。
「息、吸って。まだ半分なんだから」
地獄みたいな宣言だ。
俺の頭に浮かんだのは現実逃避気味な一言だった。
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