アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
悪夢Ⅴ ※R
-
正しく悪夢だ。恐れ続けたことが起きた。
頭の隅で分かっているのに、俺の体は目の前のアルファを番として受け入れようとしている。
顔までそっくりだからと、織部を重ねてしまいそうにすらなる。
「どうしたの?そんなに首を振って。ヒートだから痛くないはずだけど」
デリカシーも無ければ常識も欠けてる男の言葉に、力いっぱい睨みつける。
本能が全開の状態で相手に嫌悪を持つことが、どれだけ難しいことなのか。目の前の男は一生理解することが無いだろう。
コイツは、薫は。アルファであって、俺の運命じゃない。
「そんなにキツかった?ごめん」
「ぬ、け!」
「君が離さないんだよ、雪人。君が、僕を離さない」
笑顔で残酷な言葉を吐く男に嫌気が差す。教え込むように繰り返されれば、そうだと思いそうになる。
それがオメガの生理的反応に過ぎないことを分かっているのに。
「手加減して欲しい?」
「ッ」
言葉を交わす事さえ腹立たしくなってきた俺は、薫から視線を逸らした。
誰よりも俺を「劣等種」に落としているアルファサマが、支援者である今までの薫を演じようとしているのが気に食わない。
横を向いた瞬間に、いきなり中を激しく擦られる。一気に頭が真っ白になった。
「聞こえてる?ねえ。雪人、僕を見て」
「やっ」
何を言ってるか分からないが、薫の手が俺の顔を動かす。頬を赤くして、楽しそうに笑う薫が揺れる視界に映った。
何が、起きて。
「雪人。ねえ、僕と番になろうか。もっと、大事にしてあげるから。ずっと気持ちよくしてあげるから」
「ああッ、あっ、」
言ってる意味が、分からない。薫が何を言ってるのか、理解できない。
熱い、気持ちがいい。気持ち悪かったものが何処かに消えたみたいに、今はただただ気持ちよかった。
「ねえ、ここ。噛んで。」
アルファの匂いがより近くなる。頭がおかしくなるかと思うほど、ぼうっとしてくる。
そうして、差し出された白い首に。
俺は正気を取り戻した。一番不快な匂いを感じるその場所のおかげで。
「なん、で!ちさと、さんッと、つがい、にぃっ、なって、ない、んだ……!」
それは色濃くついた、智里さんの気配だった。噛み痕はないのに。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
71 / 73