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目の前にはいつも side葵
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教室に続く廊下の途中、少しは落ち着いたか繋いでいた手が離される。
「ごめん、ありがとう……もう大丈夫だから。」
首を横に倒して唇を綻ばせてふわりと笑う。
空いたてのひらが少し悲しくて少ししゅんとなるがその微笑みにしょうがないかと教室に向かう。
「って、え??席替えした??」
がらりと教室の戸を開いて大我が発した言葉がそれ。
あ、そういえばその時も大我は休んでいたっけ。
「葵、どうせまた葵の前だろ??」
さぁ、席を教えろと言わんばかりに大我が問いかける。
"また"
またもも何も大我がおれの前の席から離れるなんてことはない。
何をしたっておれが大我を前にするようにどうにかするから。
特に、大我が休みの日の席替えなんてそれを簡単に作り出せる。
『ごめ~ん、この席と変えて。』
っていえば大体許される。
だって、
大我はあまり学校こないから
みんな大我がいいやつだって知ってるけど
それでも、脆く壊れやすい、と大我のことを思っている人の方が多くて、おれと一緒じゃなきゃダメなんだ、とおれが嘘を吐き続ければ簡単にそう思い込んでくれた。
だから、
「ん、もちろん。おれが、ココだから、大我はココ。」
いつだって大我はおれの前。
そこから離れることはないし、離したくもない。
大我が寂しいんじゃなくて
おれが寂しいから
大我がひとりじゃ何も出来ないんじゃなくて
おれが何も出来ないから
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