アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
目の前にはいつも side葵
-
窓際の席に前後で座る。
昨日までは空だった席に大我がいて嬉しくなる。
「げ、今日って木曜??」
黒板の端に書かれた日にちと曜日を見て大我がいう。
大我にはよくあるそんな光景。
「えー、体育あんじゃん…体育服ねぇよ……」
ぷくりと頬を膨らませてそんな台詞。
いや、
大我が体育とか体動かすの知ってるけど、さ。
何考えてるんだよ、ほんと。
って、いつも思ってる気がする。
「病み上がりがなんの冗談??」
膨らんだ頬を指でつぶすとぷしゅーっと空気の抜ける音。
「冗談じゃなくて、さ!!」
いやいや、冗談だろ。
ばーか
そんなのやらせねぇ、よ??
「せっかく下がった熱をまた上げるのかぁ…あーあ、また、おれの前は空席か……かな、し……」
ほんとにほんとに寂しいんだからな、前がいないってのは…大我がいないっていうのは。
今日だって、もしかしたら最後までもたないかもだし、家に帰ってまた熱上がって明日いないかもってこともあるじゃん。
だから、お願い、今の時だけでも前にいて欲しい。
「明日も元気なら、明日も体育あるのに、なぁ……」
頬杖をついて窓の外を眺めながらぼそり。
明日も元気なら、さ。
それならやろうよ、体育。
それで、許して、ね??
「ま、葵が言うならしょうがねぇか……」
くしゃりとおれの頭を撫でてそう返される。
しょうがないとかそんな問題じゃない気しかしないけど、それでも、無理を諦めてくれたならよかった、とほっと胸をなでおろす。
おれがこんなことしなくても大我はちゃんと休むの分かってると思うけど、それでも、なんだか、おれの言うこと聞いてくれたみたいでなんだか嬉しかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
10 / 25