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つないだてのひら side大知
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ぼく、大知と大我にぃ双子の部屋はほんとはひとつひとつそれぞれあって隣同士。
部屋を貰いたての小学校入学前の頃はお互いがそれでよかった。
先に泣き出したのはぼくで、
夜に眠る大我にぃの部屋に毎日潜り込むようになっていた。
にぃが元気な時も元気じゃない時も。
お母さんやお父さんに元気じゃない時はだめよ、と言われてもそれでもぼくは辞めなかった。
その病気が移るものであっても、移らないものであっても
ぼくが病気になったとしてもにぃが傍にいることの方が大事だった。
ただ、一度だけ
ぼくらが小学一年生のとき。
その時にぼくが学校から風邪を持ってきてしまってにぃに移したとき。
その時だけはごめん、って思った。
あの時のせいでぼくとにぃは違う学年になっちゃったんだから、、
ぼくのせいなんだ
でも、ぼくは、辞めない。
にぃの傍から離れるなんてできない。
離れたくない。
だから、今もにぃが元気じゃなくてもにぃの部屋に行く。
にぃの部屋の前でふぅっと深呼吸。
光のない金色の取手に手をかける。
がちゃりと音を立てて扉が開く。
言うことを聞かないぼくのために、親が諦めて部屋の真ん中に設置したぼくら二人がすっぽりと入れるツインサイズのベッド。
左の方が不自然に盛り上がりその中に大我にぃが眠る。
「がおがお……」
今は呼ばない昔の呼び方で大我にぃを呼ぶ。
にぃが寝込んで何日目になるだろう。
薬の数から考えると4日くらい……だろうか。
病院に行って、薬もらって、なんとか飲んではいるのに一時しか下がらない熱、治まらない病状。
これがまた続けば前みたいに入院になっちゃう。
それだけは辞めて、嫌だよ。
ベッドに近寄り空いた空間に座ればにぃの閉じられた目が開く。
「ち、ぃ……??」
昔懐かしい呼び方。
ぼくを見る目がうるりうるりと熱のせいで潤んでる。
「ちぃの泣きむ、し……」
ぼくは泣いてなんていないのににぃがそう言ってぼくにてのひらを伸ばす。
伸ばされた手を握ればにぃの温度が伝わる。
小さい頃は同じだったはずのてのひらがぼくなんかよりも細くて薄い。
「泣いてなんかない、し……。」
繋いだてのひらにちゅっとキスをしてそう告げた。
泣いてなんかない、
泣いてなんかないん、だから。
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