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入学式
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4月。一斉にピンクに染まる桜並木の下、勇は緊張の面持ちで、名門美春ヶ丘学園の門をくぐった。父、博之の母校であるこの高校に入るため、猛勉強した中3の一年間が思い出される。それでも、目指していた特進クラスからはもれて、金持ちばかりが集まった自由クラスにようやく入れたくらいである。
勉強下手なのが唯一のコンプレックスである勇は、父に見限られることを密かに恐れている。
だが、学年の中で、勇ほど裕福な人間は他にいない。その事実に勇は優越を覚え、些細な不安や劣等など深く考えるに至らなかった。
入学式の会場でも、直ぐに複数の友人が出来た。華山家は、学園に多大な寄付金を投じていた。理事にも華村家の血縁者が何人も関わっている。そのせいで、勇は当人が自覚する以上に権威的な存在となった。権力に弱い金持ち子息や令嬢らは、勇に少しでも気に入られようと近付いてくる。
それが煩くもあり、また誇らしくもある勇であったが、主席挨拶で舞台上に上がった学生を目の当たりにするや、みるみる顔が青ざめた。
「学年首席合格者 一年C組 村井優。」
(村井・・優!?)
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