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記憶
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台所を背に、ソファに座って寛ぎながら、母ちゃんと奏が料理している音を耳にする
「あら、奏、あんたそんなに上手に包丁使えるのね?すごいわ、さすがね。
びっくりしたわ、ほんと」
「まあ・・・料理は、好き、だし」
「また今度、奏の手料理ふるまってね?」
「は?・・・別に、いいけど」
「わーい、お母さんうれしい!」
うわ、反抗期まっしぐらだと思ってた奏が、素直に喜んでる
あの顔は、喜んでる
つうか、綻んでる
「奏、顔ゆるゆるだぞー」
「うるせぇ、黙れ童貞」
チーン
からかうつもりで言っただけなのに、返り討ちにされた
てか、へこんだ
しかも、それを聞いた母ちゃんまで
「そういえば、涼は、彼女できたの?」
なんて聞いてくるから
「もう、なんでみんな急に、そういうことに触れてくるかな、ああぁぁ」
楽しくなってたのに、一気に現実の世界に引きずり下ろされた
「・・・どうしたの、あの子」
「なんか、好きな子に振られたっぽい。もう1週間も、あんなかんじ。女々しいにもほどがあるっつの」
「奏っ、黙れよ」
トゲのある言い方にイラッとして、なにか言い返そうと言葉を探していると
次の瞬間、そんな怒りも忘れるほどの言葉が、母ちゃんの口からでてきた
「あら、涼に好きな子がいるの?よかった、心配してたのよー。昔は、ユキちゃんと結婚するーって、ばっかり言ってたから」
「・・・ユキちゃん?」
「あんた、覚えてないの?」
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