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22( 蘇芳 )
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「 話を聞く限り、極度の痛みで気を失ってこれまた極度のストレスからの発熱かな。まったく可哀想に、、。」
そう言って木賊(とくさ)は、眠る風音の額に冷たい水を絞った布を乗せた。
あの後気を失った風音は熱を出した。息は荒く苦しげで媚薬とら違った頬の赤さに俺は戸惑い、慌てて木賊を呼んだ。
木賊は俺の国で昨年から宰相をしている幼馴染だ。
非常に頭が良く医師の心得もある。
先代宰相の息子で、幼い頃から俺に使えることが決まっていたため同い年なこともあり遊び相手として側にいた、唯一の気心の知れた仲だ。
木賊はその深い緑の瞳に少しの怒りを含ませ俺を見上げだた。
「 なんで僕に相談しなかったんだ?見たところまだ子供だし、彼は同い年くらいの男性より細身で華奢だ。僕達人魚の中でも体格に恵まれている君のモノをそうたやすく受け入れられるわけないだろう?」
「 、、、、、。」
「 診察したところ、傷とかはついてないみたいだったけど、熱を持って腫れてはいる。かなり痛かったはずだよ?冷静さを欠くなんて君らしくない、、なんでもっと気をつかってあげなかったんだい?それともやっぱり人間はどうでもいいとか?」
「 、、、、、。」
俺は何も言えず木賊から視線を逸らした。
木賊は幼い頃に人間に助けられたとかで人間好きだ。
趣味で人間について調べたりしているようだし、たまに観察がてら陸へ見に行っているらしい。
そんな木賊は供物にされた人間への扱いをかえようとしているが、昔からの悪習はなかなか変えられずにいる。
国王である俺自身が、人間など興味みなくどうでも良いと思っているせいもあるだろう。
俺がはじめて人間を抱いた時は、人伝てに聞いたのか「 このバカっ!!」と言われずっと口を聞いてもらえなかった。
そんな人間好きの奴だからか、いつも柔らかい話し方をする木賊の声音が今はやけに低く刺々しい、、、。
視線を逸らした先には、寝台で眠る風音。
熱が高いのか苦しげに眉間にシワを寄せ、荒い呼吸を繰り返している。
その姿に、何故か胸がひどく傷んだ。
( なんなんだこの痛みは、、?こんな事今までは、、、。)
何故胸が痛いのかよく理解できないまま、その不愉快さと苛立ちに奥歯をギリリと噛み締める俺を見つめながら、木賊は「 はぁ、、、。」と溜息を吐いた。
「 君がそんな顔するなんてね、、、。まあ、僕を呼んだ時点でどうでもいいって訳じゃないみたいだけど、、。そんなに彼が気に入ったの?」
「 、、、、うるさい。」
苛立ちを含んだ声でそう言うが、木賊は特に気にしていないようで、額の布とは別の物で風音の汗をそっと拭ってやっている。
「 まあ、寝顔しか見てないけどかなり綺麗な子だしね、それに不思議な色、、、。でも、気に入ったなら大切にしてあげないと僕達よりか弱い人間はすぐに死んでしまうよ?わかってるよね?」
「 あぁ、、。」
「 、、、わかってるならいいんだけど。今日から熱が下がるまでは絶対安静だからね。くれぐれも無茶させないであげてよ。まあ、そんな事したら僕が許さないけど、、、。彼が目覚めたらまた呼んでね。色々お話したいから。」
「 わかった。すまなかったな。」
「 僕じゃなくて彼に誤ってあげて。じゃあね。」
木賊はそう言い残すと荷物を抱えて寝室から出て行った。
「、、、、、。」
眠り続ける風音の頬に張り付いた髪を指先で払うと、そっと寝台に腰掛けた。
重みがくわわった寝台からギシっと木の軋む音が響いた。
嫌がり激しく抵抗する風音を縛り無理やり組み敷いた。
今までの人間ならば、泣き叫びながらも段々とあたえられる快楽に夢中になっていたのに風音は違っていて、人にとって媚薬になる軟膏を使っても俺を睨み続けることをやめなかった。
ひたすら暴言を吐きすきあらば一発くらわそうとしてくる。
中々に気が強く扱いづらいにもかかわらず、俺はそんな風音を〝面白い〟としか思わない。
触れれば触れるほど今まで感じたことのない疼きが胸いっぱいに広がっていってたまらない気持ちになる。
もっともっととその細くしなやかな体を愛撫していけば、軟膏の効果もあいまってか次第にその白い頬や、耳朶、首筋などがほんのりと赤く染まり出した。
そのままでも十分惹かれるものがあった風音が、頬が赤く染まるだけでこんなにも魅力が増した事に内心で驚く。
それを表には出さず風音を見れば、やはりあの不思議な色をした意志の強い瞳でこちらを睨みつけていた。
心臓が何故か痛いほど脈打っているが、きっと今から行う行為への期待と興奮からだろう。
( はやく、、はやくコイツを俺のもに、、、。)
そう思い、気が急いっていた自覚はある。
頭の中は風音を自分のものにする事で一杯だった。
そして、俺は誤った。
今まで抱いた人間は、俺の手を煩わせないようにと部下が前もって準備していた事、そして風音とは違い痩せていたりはしたものの立派な成人の体をしていた事、それらをすっかり忘れていた。
そんな事にも気を回せない程俺は風音に気を取られていた。
( この俺が、、、。)
俺の十分とは言えない準備のせいで、まだ成熟しきっていない風音の体は行為に耐えられなかった。
俺自身、行為中はあまりに狭くとてつもない痛みに襲われた。
ヤられている本人は相当な痛みだっただろう。
しかし、風音はそれでもあの目をやめず最後まで暴言をはいていた。
「 本当に気が強い、、、、、。」
綺麗で儚そうな見た目のくせに驚く程気が強い。まったく思い通りにならず、それを面白いと思いながらも俺の心の奥底でモヤモヤとしたものが小さく存在していた。
何故?どうして?思い通りにならないのか。それに対して何故こんな気持ちになるのか?わからない。それが更にモヤモヤと濁り俺の中に溜まっていく。
今まで経験したことのない想いだった。
寝台で眠る風音は、光海苔のランプの淡い光に照らされている。不思議な色合いの髪がその光に照らされキラキラと輝き、長い睫毛には影を落とした。
( 、、、、。)
額に張り付いた髪を指先ではらい絞り直した布をのせてやれば、少し表情が和らいだ気がした。
「 風音、、、。」
届かない声は風音の熱い息遣いと共にゆっくりと暗闇に溶けて消えていく。
俺はその日夜通し風音の額の布を変え続けた。
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