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The wing which died surely turns into love
戸惑う想いは、掻き消える
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翼の成分を含んだ身体も、体液も、人の体温より熱い。
彼の身体に入ってしまった俺の体液は、媚薬となる。
疼く背中に、我慢の限界を感じる。
堪らなくなった俺は、右の翼を広げた。
「熱っ…あっ……ついっ」
俺に組み敷かれている彼が、口から泡を吐き、首を仰け反らせた。
あ、ヤバイっ…効きすぎたっ。
慌て、引き抜いたペニスに、彼の身体を反転させる。
泡状の唾液が付着する彼の唇を、親指で拭った。
ふらふらと揺らめく瞳に、腕を引き、身体を起こさせた。
抱き締めるように腕を回し、肌の上から肝臓に触れ、機能を上げさせた。
はっはっ……と小さく息を吐き、縋るものを求めるように、彼は俺へと撓垂れかかる。
「な、んか……」
相当怖かったのだろう。
身体が微かに震えている。
「……気持ち良すぎて、死にそう…だった」
俺の肩に頭を預けたままに、ははっと、小さく乾いた笑いを零す彼。
彼の後頭部を、くしゃりと撫ぜていた。
「殺さないよ……」
死にそうだった、と笑う声が、何だか可愛く感じてしまった。
もぞっと動いた彼は、俺の腕から逃れるように、上体を離した。
夢心地のような、今にも意識を手放してしまいそうな、虚ろな瞳が俺を見やる。
交差する視線の奥で、名を探る。
瞳を合せれば、俺は、記憶を読むことが出来る。
瞳を見て、記憶を探り、こめかみに触れ、記憶を消し、うなじに触れ、記憶を改竄する。
″猪野 結芽(いの ゆめ)″
見た目とは似つかわしくない可愛らしい名前に、少し可笑しさが込み上げた。
白い片翼を広げた俺に、猪野は、ぼんやりとする瞳で背後を見やっていた。
でも、その瞳には、沸騰し過ぎた頭には、幻影のように映っているのだろう。
目尻を赤く染めたまま、気持ちよさに揺蕩った感覚のままで、猪野は、唇を寄せる。
男とキス……。
ほんの少しの戸惑いの気持ちは、重なる熱い唇で、掻き消された。
まるで、愛する者にするように、愛を求めるように、貪る唇に、絆されていた。
俺は、猪野の両のこめかみを片手で掴み、彼の記憶を…、消す。
灰色の髪の片翼の俺の姿を、猪野の記憶から、消去した……。
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