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The wing which died surely turns into love
まだ早い、ただ、それだけだ < Side X
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女とは違う勝手に、結芽の記憶を読むしかなかった。
じっと見詰める俺に、結芽は、頬を染め瞳を逸らす。
初なその反応に、胸の奥が擽ったくなる。
普通の男なのに。
色気ある女じゃないのに。
可愛いわけでも、華奢で守りたくなるようなタイプでもない。
俺は、片翼の封印で、性癖まで変えられてしまったのか?
……まさか、な。
自分の突飛な考えに、嗤いが零れた。
ただ、男らしさの裏にある可愛らしい一面に、むず痒い感覚が、身体を這っていった。
羞恥に、戸惑う顔に、もっと乱したくなる。
ドクン、ドクン、……心臓が、色めいた音を立てていた。
俺の左手に繋がる結芽の右手。
結芽の右手の小指が、曲がっているコトに気がついた。
変形している小指を、自分の小指で摩った。
「何?」
結芽は、目尻を赤く染めたままに、俺を見上げる。
「なんでも、ない……」
俺は、小さく首を横に振るい、安心させるように笑みを浮かべた。
この指は、俺が成りすましている人物が、折ったもの…らしかった。
読みたい記憶が、よく、見えない……。
ノイズが入り、綺麗には、見えなかった。
痛みの記憶だけが、鮮明に見えた。
結芽が、忘れたい記憶なのかもしれない。
佳梛が結芽に怪我を、痛みの記憶を負わせていたのなら、今、一緒にいるのは、おかしいから。
本物の佳梛の記憶は、磨硝子の向こうへと押しやった。
佳梛と結芽は、酷い別れ方をしているように見えた。
見えた通りの別れ方をしたのなら、会うコトもないだろう。
…恋する気持ちを、ひた隠しにしていたコトも、感じていた。
深い記憶を弄るわけには、いかない。
深すぎる記憶は、弄ればそれだけ、結芽が危険だ。
……、結芽のコトを考えるほど、深い関係じゃない。
こいつが壊れても、別に何とも、思わない。
ただ、この翼からの毒素は、セックスで解消するのが早い。
暫くは、結芽を相手に解毒するしかない。
壊すのは、まだ、早い……。
「何でか知んないんだけど曲がってるんだよね……」
ぼそりと声を放った結芽は、手首を捻り、俺が擦った小指を見やる。
「小さいときに転んだんかな?」
不思議そうに小指を見詰めている結芽に、俺は、自分へとその手を引き寄せた。
変形してしまっている小指に、キスを落とす。
いやらしく見詰めれば、結芽は、顔を赤くし瞳を逸らせ、手を引っ込めた。
解放された手に、俺は、着ていた結芽の服を脱ぐ。
空から堕とされた時に着ていた、背が大きく開いたシャツや、脚にぴったりとフィットしているズボンは、呪力で粉砕し、消した。
結芽と身体つきは、ほぼ同じ。
俺は、結芽の服を勝手に着ていた。
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