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The wing which died surely turns into love
短くなる刺青 < Side X
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翼を体内にしまえば、羽模様の刺青が浮く。
左の封印されている翼は、蛇が巻き付き、腕までは広がらないが、右は手首の少し手前まで、刺青が浮かんでいる。
中指の爪の先まであった刺青は、時間が経つにつれ、腕を上がり、短くなっているようだった。
焼けたくないというのは、単なる口実だ。
肌を見せるときは、呪力で隠しているが、ずっと隠し続けるのも、なかなか骨が折れる。
服で隠せるのなら、それが楽だった
絡んでくる結芽が、なんだか可笑しくなり、笑いが止まらなかった。
そんな俺の笑い声を止めたのは、トイレで結芽を手籠めにした男。
俺自身、実際には見ていなくとも、結芽の記憶の中には、しっかりと残っていた。
腰を痛がる結芽をその場に残し、俺は、男を追った。
地上に暮らす者に比べれば、俺の足は、かなり速い。
あっさりと追いついた俺は、男の後ろの襟首をぐっと掴んだ。
「ぐっ…………」
引かれるシャツに首が絞まった男は、呻くような音を漏らす。
俺は、何も声を発することなく、男を路地の奥へと引き摺った。
「なっ……、…ぅっ……ぃって…」
引き摺っていた腕に力を入れ、男を壁へと放り投げた。
強かに後頭部と背を壁に打ち付けた男は、怒りの灯る瞳で俺を睨め上げる。
苛立ちのままに向けられる視線に、俺は、余裕の笑みを湛えた。
可愛いげのある顔なのに、怯えと怒りが綯い交ぜとなった表情は、綺麗とは言い難い。
「お前、なんだよ? 彼氏か、何かよ?」
苛立ったように荒れる声を放つ男。
きゅっと眉間に皺を寄せ、訝しげに俺を見やる瞳は、居心地の悪さに揺れる。
決まり悪そうに、俺から視線を外した男は、零すように声を放った。
「…だとしても、誘ったの、あいつだし。合意の上でしょ?」
苦しい言い訳を早口に、吐き捨てる。
俺は、尻込む気もなければ、気圧されるコトもない。
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