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The wing which died surely turns into love
知らないコトばかりが、増えていく
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「なにしてんの? 髪でも抜けた? ハゲの危機?」
ケラケラと笑う俺に、佳梛の顔が、瞬間的に歪んだ。
その顔を隠すように、佳梛は、裸のままに俺の横を通り過ぎようとする。
「俺、後で入るな」
ぼそりと声を放った佳梛は、脱ぎ捨てられていた服を拾う。
ぐしゃっと適当に拾った服を手に、この場を去ろうとする佳梛。
俺は、慌て擦り抜けようとする佳梛の手首を掴んだ。
「ごめん。怒った…? デリカシーなかった?」
焦るように声を放つ俺に、佳梛は、顔を伏せたままに首を振るった。
「違うよ」
作ったような笑みを浮かべた佳梛が顔を上げた。
佳梛の背から、ふわりと1枚の大きな白い羽が舞い落ちた。
「…なんで、羽?」
ふわふわと揺蕩い落ちた羽を拾い上げ、親指と人差し指で挟み、くるくると回した。
「これ、綺麗だなぁ…」
羽に見惚れる俺に、佳梛が横を擦り抜ける。
佳梛の姿を追うように、視線を向けた俺の瞳に、背に浮かぶ刺青が見えた。
「あれ? お前こんな刺青入れてたっけ?」
指先で触れる俺に、ふわりと振り返った佳梛は、惚けたように声を放つ。
「あー。何となく? カッコいいかなぁって…」
あやふやに言葉を放った佳梛に、俺は、軽く眉を寄せた。
「んー。悪かねぇけど。痛くなかった?」
弱く笑む佳梛に、刺すときの痛み思い、ぞわっとした感覚が身体を這った。
思わず、顰めた顔で、佳梛を見詰めた。
「ま、それなり……。あんまり覚えてないんだよね」
ははっと乾いたように笑う佳梛に思わず、自分の身体を抱き締め、ぶるっと震えた。
「やっぱ、痛いのはヤだな。カッコ良くても…」
ぶんぶんと頭を振るう俺に、佳梛は、くすくすと笑いリビングへと足を進めた。
綺麗な刺青だとは思うが、いつ刺したのかも俺は、知らない。
高校時代からの付き合いで、今も恋人として付き合っているはずなのに、俺の知らない佳梛の姿に、胸の奥が、ズキンとした痛みを訴えていた。
長く一緒に居るはずなのに、知らないコトが山ほどあるように感じた。
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