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The wing which died surely turns into love
総てを、飲み込んで
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「もう…、マジかよ……」
下着まで雨の餌食となっているコトに気付き、大きな溜め息と供に、文句を零す。
ただでさえ、目の毒なのに。
下着まで、履き替えさせなくては、いけない。
一糸纏わぬ姿の結芽が、目の前に居るのだ。
当たり前だが、俺の下半身は、反応する。
このまま、犯してしまおうか……。
上手く扱えなかった記憶に、結芽は、暫く目を覚まさないだろう。
翼が広がったところで、何の問題もない。
…でも。
寝ている結芽を抱いても、つまらない。
それは、酷く浅ましく、自分勝手な行為で。
イケないコトをしているような、変な罪悪感が芽生えていた。
……そこまで、堕ちるつもりも、ない。
濡れた身体を粗方拭い、ベッドへと運んだ。
寝かせたままに、下着をつけ、部屋着を着せる。
上着を着せる途中、小さく呼吸する度に上下する胸許を柔らかく撫で、首筋に唇を落とした。
ちゅっとリップ音を立て、離れた俺に、結芽の瞳が薄く開く。
夢うつつな結芽は、ぼんやりと俺を見上げ、か細い声を漏らした。
「……佳梛」
微かに上がる結芽の口角に、俺の胸は、ちりちりとした痛みが燻った。
俺は、偽物だから。
本当の名を呼ばれるコトなど、あり得ない。
結芽に、″佳梛″と呼ばれる度に、俺の胸はチクリと痛む。
意識を取り戻した結芽は、不思議そうに、何度も何度も瞳を瞬いた。
いつのまに眠りについたのだろうと、不思議がっていた。
「ん? ……お前、友達、…と」
少し掠れた声で、俺の友人を気遣う結芽。
胸の奥が、騒がしかった。
結芽の気持ちが揺れていた。
瞳の奥に、微かに感じる結芽の嫉妬心。
嫉妬心に駆られ、雨に濡れたままに、歩いた結芽。
その苛立ちは、綺麗には消えていない……。
「ん…、帰ったよ」
ベッドに横になっている結芽の腹に顔を埋め、声を返した。
「擽ってぇよっ」
ケラケラと笑いながら、俺の頭を小突く結芽。
考えないで、思い出そうとしないで。
その苛立ちは、夢のせいだと思って。
お願い、結芽。
総てを、飲み込んで……。
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