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The wing which died surely turns into love
腑抜けた自分の不甲斐なさ
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「関係なくないだろ!」
叫ぶ俺の声に、佳梛が嫌な顔をする。
「関係ないっ! お前なんて知らないっ」
「嘘つくなよっ、佳っ……」
名を呼ぼうとした俺の腹に、大股で近づいてきた佳梛の足が、めり込んだ。
詰まる息に、怒りを込めた瞳を向ける俺に、佳梛は泣きそうな表情で視線を背けた。
俺の身体が床へと押し付けられる。
気付けば、右腕を伸ばされ、上に乗られていた。
「なっ……」
引き抜こうにも、全体重をかけられている腕はミシミシと嫌な音を立て軋み、力が入らない。
「関係ないなら、出来るだろ。ほら、やれよ」
俺の右手が冷たいコンクリートに押しつけられる。
「違う、違うだろっ。俺たち…………っ」
叫ぶ俺の声を遮るように、俺の手の上に、固いコンクリート片が落とされた。
右手に感じる激痛に、見上げた先の顔。
「佳梛っ……」
痛みに意識がチカチカと明滅した。
身体中から力が抜け、気付いたときには意識が、真っ白な闇に飲まれていた。
駅前のベンチに寝かされていた俺の身体。
右手の小指が腫れ上がっていた。
鞄の中には、佳梛に貸していたCDが入っていた。
変なところに律儀な、佳梛。
次の日、佳梛は退学してしまっていた。
高校3年の11月という、あと数ヶ月で卒業と言う変な時期に。
もっと、方法はあったのではないか。
佳梛は、苦しんでいたんだ。
なんで、気づいてやれなかったんだっ。
助けられなかった自分の弱さを、腑抜けた自分の不甲斐なさを、…呪った。
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