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The wing which died surely turns into love
白い羽が散らばるベッド < Side X
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期待していない。
捨てられると思っていた。
終わったと感じていた。
「好きなヤツって……」
震える声を紡ぐ俺に、結芽は、ぐりぐりと人差し指を胸に突き立てる。
「お前以外いねぇだろ? 好きなヤツの名前知りてぇって、お前の名前知りてぇって言ってんのに……説明させんな、バカ」
最後には、照れたように頬を染め、視線を背けた。
突き立てていた人差し指が拳に代わり、俺の胸許を小突く。
結芽の言葉は、落胆に塗れた俺の心を、歓喜の渦の中へと落し込んだ。
目尻が熱く、瞳が充血していく。
涙を耐える俺の顔は、醜く歪む。
「泣いてねぇで、教えろって言ってんのっ」
トントンっと、再び胸許を突かれ、ごくりと唾を飲み込んだ。
「ぉ……、音里(おんり)…」
はぁ……っと深く息を吐いた結芽は、俺の腿の上に腰を下ろした。
動きを止めている俺の拘束されたままの手を引き、上体を起こさせた。
撓垂れるように、結芽に身体を預ける俺の背が、柔らかに撫でられる。
「俺、…知ってんだよね」
言葉を紡ぎながら、結芽は、俺の背中を指先で叩く。
「お前に翼、生えてんの」
出てこいと扉を叩くように、結芽は、俺の背をノックする。
もう、隠していても仕方ない。
結芽はきっと、総てを知っているのだろう。
俺は、呼ばれるままに、翼を体外へと広げた。
ばさり――。
大きく広がる右の翼。
広げた瞬間に右側半分に白い羽が散らばった。
真っ黒だった髪の色が、光を失った銀色…、灰色へと変化した。
結芽は、身体を離し、真ん丸にした瞳で、俺の翼を凝視した。
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