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The wing which died surely turns into love
無かったコトにしたかったけれど
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「……知ってたんだよね?」
結芽の、あまりの驚きように、思わず問うた。
「あー……んー、何となく? 白い物が見えんなぁって……幻覚かと思ってたんだけど」
そんなのあり得ねぇってバカにされると思ってたんだけど…と、俺の翼に触れた。
俺は、慌て、翼を畳もうとした。
しまおうとする翼の付け根を、結芽に捕まれた。
「ぃっ……痛っ」
遠慮のない力加減で捕まれた翼が痛みを訴えた。
「あ、悪ぃ……」
ぱっと手を放した結芽は、掴んでいた場所を撫でながら、じとっとした瞳を俺に向ける。
「お前、今、しまおうとしただろ? 無かったコトにしようとしてただろ?」
困ったように瞳を彷徨わせる俺に、結芽は、笑う。
「髪の色も変わるんだな……」
へぇ~っと不思議そうで納得するような音を吐きながら、結芽は、俺の髪を手で梳いた。
結芽の瞳が、俺の左右の背後を見やる。
「なんで、こっちだけなんだ?」
広げた翼に触れながら、結芽は、俺の左の背を見やった。
広がらない左の背を不思議そうに見やる。
「封印されているんだ」
身体を捻り見せようとする俺に、結芽は、なにかに気づいたように、あぁと小さく声を零した。
「なんか蛇みたいなの巻きついてたな、そう言えば」
するすると背を撫でられ、ぞわっとした感覚が身体を駆けていった。
左手で俺の翼を掴みながら、結芽の右手は、俺の背を撫でる。
じわりと広がる熱い痺れに、無意識に唇を寄せていた。
唇より先に、舌が絡んだ。
くちゅり…小さく立つ水の音。
瞬間、結芽の脳裏に月香と俺のキスしている姿が浮かんだ。
びくりと結芽の身体が、強張った。
「あれは、違う……」
俺の声に、結芽は訝しげな瞳を向けた。
「愛情からじゃなくて、…これの毒素を抜いてもらってただけだから」
外に出し、結芽に触れられたままの右の翼を、軽く振るった。
それでも、俺を、哀しく切なそうに見つめる瞳。
悲しげな瞳が胸を刺し、思わず、結芽の頭へと手を伸ばした。
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