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The wing which died surely turns into love
お似合いな綺麗な名前
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ベッドの上で、寝転がる結芽に、俺は、湿らせたタオルで、身体を拭ってやる。
「佳梛……って、結芽の初恋?」
身体を拭いながら、ちらりと向けた俺の視線に、結芽は、記憶を辿るように瞳を泳がせた。
「初恋…か。好きだったよ。言えんかったけどな……」
俺に瞳を据えた結芽は、諦めたように困ったような笑みを見せた。
捕まった結芽を関係ないヤツだと言い放ち、小指を折った佳梛。
今思えば、あれは、結芽を守るため…だったのだろう。
結芽も、そのことに気がついているようだった。
「お前に似合ってんじゃん」
声に、疑問符を浮かべた視線を、結芽へと向ける。
「音里なんてさ、綺麗な名前でいいじゃん」
ニカッとした笑みを浮かべる結芽。
揶揄う訳でもなく、本心でそう言っているのは、手に取るようにわかる。
思わず、赤く熱くなる顔を背けた。
「なん、照れてんの?」
くくっと詰まるように笑った結芽は、言葉を繋ぐ。
「お前、たまに可愛い反応するよな?」
恥ずかしさに視線を背ける俺の頭に手を乗せた結芽は、ぐしゃっと乱すように髪を混ぜる。
ドクンと俺の心臓が、ひとつ、鳴った。
「ぅ、うるさいなぁ……」
撫でるように優しく動かしていた手に力を入れ、これでもかというほど強く、結芽の身体を拭いた。
「いってぇよっ」
ぱしんっと俺の手を弾くように叩く結芽の手首を掴み、覆い被さるように身体を重ねた。
俺の下で喘いでいるお前の方が、よっぽど可愛いと思うんだけどな……。
「もっかい…、襲うよ?」
背の後ろで小さくなっていた翼を、ぶわりと広げた。
首筋に唇を押し当て、じゅっと強く吸い上げた。
「……待て待て。俺、限界だって」
片足を持ち上げた結芽は、俺の腰を踵で、叩く。
仕方なく起こした身体に、俺の視界に、羽が映り込む。
結芽の周りに散らばる白く大きな羽に、困ったように、視線を向けた。
どうしようかと眺めている俺に、ほっとしたように息を吐いた結芽が口を開いた。
「いつも、どうしてたんだよ……」
話す声も緩やかで、体力の限界を訴えているように感じた。
寝転んだままの結芽の髪に指先を伸ばしながら、言葉を紡ぐ。
「消してた」
伸びていった俺の手を避けるように頭を逸らす結芽。
「ぁ……」
逃げられた頭に、情けない声が漏れた。
記憶を消されると思っているのか、警戒心は薄れていなかった。
そんなつもり、なかったんだけど……。
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