アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
The wing which died surely turns into love
俺の恩人
-
高校に入る時には、何とか縁を切っていた。
高3の10月頃に、あの時の後輩に再会した。
後輩は、高校にも行かずに、裏の世界に足を突っ込んでいた。
逃げたと因縁をつけられ、……輪姦されたし、憂さ晴らしの道具に、殴られたりもした。
俺には、父親しか居なくて、そいつも自分の生活が大事な人だった。
息子が帰ってこなくとも、警察沙汰にならない限り、関与してこなかった。
終いには、客まで取らされるようになって……。
客として来たのが、外村だったんだ。
「俺んとこ来る?」
外村は、胡散臭い笑顔で、そう聞いてきた。
「好きにすれば……」
俺は、むすっとしたままに声を放つ。
俺が外村の所に行きたいと言ったって、聞くわけがないし。
外村の所へ行きたいとも思っていない。
第一、俺の意思など、必要ない。
俺には、ここがお似合いなんだと思っていた。
こんな人生が、妥当なんだと思っていた。
「じゃ、好きにする」
にっこりと笑った外村は、ひょいっと俺を肩に担ぎ上げた。
「これ、貰ってくね」
放つ言葉に、苛立った声が帰ってきた。
「勝手すんなやっ!」
ごそごそと胸元の内ポケットを探った外村は、万札を数十枚引き出し、ばっと頭の上から放った。
ひらひらと札が宙を舞う。
「このくらいで充分でしょ。荒稼ぎしたんでしょ?」
すっと滑った外村の視線は、氷のような冷たさを纏う。
くるりと踵を返す外村に、男の怒声が響いた。
「っざけんな!」
男の手が伸び、外村を掴もうとした。
が、その手が届く前、後ろへと蹴上た外村の足が、男を吹き飛ばした。
振り返った外村は、俺を肩に担いだままに、男に寄った。
足蹴にされ、うつ伏せに倒れたままに呻く男の目の前に、しゃがみ込んだ。
「俺に逆らう? 死にたい? 海に沈められたい? それとも、社会から消してあげようか? あ、こいつと同じ目に合う? もしくは、じわじわと殺してあげようか? もう殺してってお願いしたくなるくらい、じっくりと甚振って首の皮1枚で生かし続けてあげようか?」
捲し立てるように紡がれる疑問符に、男の顔が歪んでいく。
「これは俺が貰った。それでいいよな?」
ぽんぽんっと担いでいる俺の腰を叩き、男へと有無を言わせぬ問いかけをする。
男は、ぐっと顔ごと視線を背け、チッと小さく舌を鳴らした。
「はい、交渉成立」
面白くなさそうに顔を顰めた男は、身体を起こそうとする。
すくっと立ち上がった外村は、起き上がろうとする男の肩を、豪快に蹴飛ばした。
蹴られた衝撃に、男の身体が横へと滑り、壁へと激突する。
「あ、ごめん。腹立つから蹴っちゃった」
ははっと軽快に笑った外村は、俺を担いだままに、その場を後にした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
76 / 110