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The wing which died surely turns into love
嫉妬ごと飲み込むしかない
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「抱き締めていい?」
ベッドの端に座る月香に視線を向け、問うオレ。
月香は、呆れとも諦めとも取れる顔で、言葉を紡ぐ。
「好きにして下さい。私には、何の権利も無いんですから」
チクッとした痛みが、胸に生まれる。
そんなつもりで言った訳じゃない。
そんなつもりで月香を監視している訳じゃない。
でも。
自分を卑下する月香の思いを、オレは……オレでは、拭うことが出来ない。
ベッドに腰を掛ける月香を跨ぐように、後ろから抱きかかえた。
後ろから腰に腕を回し、月香の翼の付け根の真ん中に、顔を埋めた。
感じる部分だと、知っている。
ここは弱い部分だから。
急所を触られている感覚に、月香の身体は無意識に、僅かばかりの力が入る。
「抱いて、……いい?」
後ろから、月香の耳許に唇を寄せ、囁く。
「好きにしろと言っているでしょ?」
投げ遣りな月香の声に、俺は、背の隙間から忍ばせた手を、その身体に這わせた。
唇は重ねない。
月香の綺麗な想い出が、穢れてしまうから。
以前、雰囲気に飲まれるように、唇を近づけた。
重なる間際、隙間に月香の手が割り込んだ。
邪魔くさい……。
単純にそう思い、障害物を握り避ける。
再び寄せた唇に、月香の顔が微かに背く。
視界に飛び込んできたのは、ぐっと瞳を閉じ、眉を顰める月香の顔だった。
「……キスは、嫌?」
聞くことじゃない。
デリカシーの欠片もないと思った。
でも、聞かずにはいられなくて。
微かに開いた瞳から流れてきたのは、音里の影。
溶ける月香の意識は、オレの呪力に歯向かわない。
感情を御しきれない。
それくらいは、守らせて欲しいと、…いい想い出のままに残して欲しいとでも言うように、月香の顔は、申し訳なさげに歪む。
「ごめんね……」
ふふっと小さく笑い、顔を離した。
ヤキモチを妬いたって、嫉妬したって、どうにも出来ない。
オレは、それを飲み込むしかない。
そのまま首筋へと落とした唇で、皮膚を軽く吸い上げた。
キスマークくらい、許して欲しいと思った……。
月香は、何も言わなかった。
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