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The wing which died surely turns into love
気に食わない < Side G
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ザーッと鳴り響くシャワーの音に、意識を戻す。
身体の怠さに、尻に感じる違和感に、先程までの行為が夢ではないと物語る。
視界には入るのは、見慣れた部屋。
砂嵐のような記憶のノイズ。
徐々に、記憶が正されていく。
軽く頭を振るえば、私を抱き締めていたのが陽静だと、安易な呪縛は簡単に解かれていく。
私を抱いていたのは、音里じゃない……。
あの声も、あの体温も……陽静のものだ。
恥辱と後悔に、顔が染まり、心がぐっと締めつけられた。
バスルームから戻った陽静は、私が仰向けに寝転がるベッドの端へと腰を掛けた。
「意外に、チョロかったなぁ……」
自身の手を見詰め、呆けたように呟く陽静。
ふわりと振り返ったのが、雰囲気で感じ取れた。
するりと私の髪へと入り込んできた陽静の指先が、するするとそれを滑り落とさせた。
離れていこうとする陽静の手を、くっと掴んだ。
「チョロい……?」
私の言葉に、陽静は、びくりと身体を震わせた。
「ぇ……?」
寝ていると思っていた私の声に、慌てたように声を漏らした。
焦ったように逃げようとする陽静。
身体を離す陽静に、釣られるように、私も身体を起こす。
めらめらと燃え上がるのは、怒りの感情だ。
こんな、屈辱、他にはない。
自分の気持ちが、弄ばれた感覚が、気に食わない。
空いている手をすっと伸ばす。
苛立ちに、その手で、陽静の首を鷲掴んだ。
「私に、何をした?」
言葉尻が、荒れた。
低く放たれる私の声は、陽静の心を震え上がらせる。
ギリギリと締め上げていく私の手に、陽静は爪を立てそうになる。
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