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The wing which died surely turns into love
拭いきれない感触 < Side G
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じわじわと沸き起こった殺意は、私の翼を焼き焦がそうとした。
背中に、チリチリと焼けるような痛みが走る。
陽静はゆるりと、私の翼に触れた。
ひんやりとする感覚は、発熱したときに当てられる濡れたタオルのようで、すっと痛みを引いていく。
「滅するなら一気に…ですね」
きゅっと小さく翼を畳んだ。
咎人の私に、悠長な葬り方は出来ないと言うこと。
時間をかければかけるだけ、自分が葬られる可能性が高くなる。
「次はありませんよ。2度目は、貴方を道連れに、死を選びます……」
苛つく感情のままに、静かに声を放った私に、陽静の呟きが重なった。
「……親父になりてぇ。無理だけど」
ふいに、陽静の掌が私の頬に触れた。
「いや。代わりでも、何でもいいや。月香の隣に居られんなら、それでいい」
諦めるように呟き、悲哀に沈む唇が、私のそれに触れた。
掠めるように触れた陽静の唇……。
脳裏に鮮明に流れる記憶は、陽静に縋る自分の姿。
唇に鮮明に蘇るのは、陽静の口づけの感触。
唇を親指で、ゆったりと拭った。
それでも、感触は陽静のもので、塗り替えられたままで。
再び、指先に力を入れ、唇を拭う。
それでも、全く消えない陽静の感触。
陽静から瞳を逸らせ、唇が取れてしまうのではないかと思うほどに、何度も手の甲で拭った。
「居ないヤツのコト、いつまで思ってるの?」
悔しそうに紡がれる陽静の声が、耳に響く。
いつもは明るく振る舞う陽静の本音が漏れていた。
外していた視線を、陽静へと向けた。
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