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The wing which died surely turns into love
背筋を凍らせる声
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地上に降りる前、再び呪縛をかけられた。
陽静に手をかけた瞬間に、発動されてしまった呪縛が弱り、新たに、かけ直された。
遙夢が施術するというのを制し、再び、陽静の手によりかけられた呪縛。
遙夢の呪縛は、陽静のような生易しいものじゃない。
黙っていても、ずっと痛み続けるものだ。
また、温情をかければ、罰しますという遙夢の言葉に、陽静は、それでもと頼み込んだ。
陽静の懇願に、遙夢が折れた形だった。
無限を描くように、ぐるりと翼の付け根に纏わりつく蛇。
それは、翼を身体の中へと封印するものではない。
でも、なにかあれば…私が反旗を翻せば、その蛇は牙を剥く。
噛みつかれ、牙から放たれる毒液を翼から身体へと流されれば、私の命は簡単に葬られる。
日がカンカンと照りつける昼過ぎに、陽静と私は、音里の住むアパートの傍へと降り立った。
見るだけという約束で、私たちは、ここへと赴いた。
家には居ないコトが、感じ取れていた。
近寄ってくる音里の…、自分の呪縛の感覚。
感じる雰囲気に瞳を向ける。
陽静も釣られるように、そちらへと視線を向けた。
瞳の先、少し離れた場所に、手にビニール袋を下げ歩く音里の姿。
コンビニ帰りといった雰囲気だった。
地面を照りつける陽射しを嫌そうに見上げる音里は、至って元気そうだ。
幸せそうな、穏やかな毎日を送っているだろうコトが感じ取れた。
音里の姿に、ドキドキと高鳴る感覚よりも、安堵感が胸を占めた。
「姿も見られましたし、帰りましょう?」
ふっと小さく息を吐き、陽静を促す。
でも、陽静はその場を動こうとはしなかった。
視線は、ずっと音里の姿を追いかけている。
「音里、覚えてるんでしょ?」
ぼそりと放たれた陽静の声に、はぁっと疲れたように吐かれる私の溜息。
陽静の瞳が、私を見やる。
「こんな遠くから見るだけで良いの? 覚えてるんなら、話したいんじゃないの?」
陽静の言葉に、胸がざわついた。
話をしたい。
けれど。
穏やかな生活を送っている音里を邪魔するようなコトもしたくなかった。
「見ぃ~つけたっ」
背後から聞こえたその声に、私も陽静も凍りついた。
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