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The wing which died surely turns into love
変わった手法の惚気 < Side Y
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佳梛の家の晩御飯は、焼肉だった。
泊めてもらい、晩御飯までご馳走になるのも悪いとは思ったが、佳梛に嬉しそうに招かれ、甘えるコトにした。
「あ、それ、俺が温めてた肉!」
佳梛の叫びに、外村は、素知らぬ顔で肉を頬張った。
「もぉ、子供みたいに拗ねんなよっ」
つらっと肉を咀嚼する外村に、佳梛は、呆れたように声を放つ。
「こう見えても、こいつ36だからね?」
俺に向けられる佳梛の言葉に、外村は、これ以上ないというほどの不機嫌顔になる。
静かに箸を置いた外村は、佳梛の頬を、むにゅりと摘まんだ。
「なあちゃん。いい加減にしないと泣かすよ?」
苛立ちを隠さない外村の声に、佳梛は、負けじと頬を摘まみ返した。
「下らないことでヤキモチ妬く方が悪いでひょ?」
引っ張られている頬に、佳梛の言葉がおかしな発音になる。
「下らなくない。面白くないのは当然でしょう?」
空いていた手で、さらに佳梛の頬を摘まむ外村。
その柔らかな頬を、むにゅぅっと両方へと伸ばした。
「いひゃい、いひゃいって」
外村の頬を放した佳梛は、引っ張られる頬を摘まむ手を振り払う。
少し赤くなった頬を両手で摩りながら、佳梛は、声を放った。
「だからさ。俺が好きなのはお前だってどうしたら信用するの? 結芽は、過去の人なの。あんただって、好きだった人の1人や2人いるでしょ。その人と再会したら、俺のコト捨てるわけ?」
むっとした声を放つ佳梛に、外村の顔がしゅんと沈む。
「……そうは言ってない」
毎度毎度の痴話喧嘩。
これ、惚気られてるだけだよな……。
「ご馳走さまです……」
もそもそと肉を食みながら、声を放つ俺に、佳梛がこちらを見やった。
「もぉいいの?」
不思議そうに問いかけてくる佳梛に、ふっと鼻で笑った。
「いや。惚気、ご馳走さんって話」
毎度、毎度、痴話喧嘩という変わった手法で惚気をかます。
喧嘩とは言うけど、お互いがお互いを好きすぎて怒っているに過ぎないんだよな、こいつら。
惚気る2人を見ているうちに、音里に会いたくなっている自分が居た。
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