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「628人中628位。ドン底の成績だね、御守椰 海熾くん」
放課後、もう校内には生徒の影は見えない。静まり返った3階の廊下に、教師の呆れた声が響いた。
声の元は第2指導室。フロアの中で1箇所だけ明かりの灯ったその部屋には、校内で不良と名高い御守椰 海熾(ミモリヤ カイシ)と、その担任、迅玄 英輔(ハヤクロ エイスケ)が向かい合って座っていた。
「……」
「黙り?まあいいや、明日から毎日ここに来て。きみだけ特別補習だから」
「っは?ざけんな」
低めのソファーに足を組んで座っていた御守椰は、鋭い眼光を迅玄に向けた。
しかし迅玄当人は別段怯えた様子も見せずに続ける。
「ふざけてるように見える?学力が低くて良いならそれでも良いけど、俺は教師だからね。お前の事が大っ嫌いでも、目の前に出来の悪いガキがいたらカタチだけでも教えなきゃ辞めさせられんの。わかる?」
「…はっ、見た目によらず腹黒だな」
「人は見かけで判断してちゃ生きてけないよ。生きる教訓だね、俺は」
ニヤリと笑う迅玄に、御守椰は気味が悪いと引きつった笑いを示した。
しかし、面倒な補習に来たくないという御守椰の意思は変わらない。どうやって逃げてやろうか、そればかりが御守椰の頭の中を渦巻いた。
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