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「あー……」
ここは屋上。
この季節らしく蒸し暑いのにも関わらず、御守屋は大の字に寝そべっていた。
鍵がかかっている筈ではあったが、何故か数年前から開いている。という事を先輩から聞いていた。
授業をサボるには好都合なのだが、御守屋にとってはピッキングというひとつの楽しみを失った気にもなる。
「補習に来いとしか言わねぇよなー……」
噛まれた跡を擦りながら御守屋は、ふと迅玄の言動について考えた。
仮にも教師であり、受け持ちのクラスもある迅玄。
自分が担任を務めるクラスの生徒に対してだったら、補習だけでなく授業にも出ろと言いそうだ。
しかし補習補習としか言わないあいつにだって些か問題があるのでは、と御守屋はため息をついた。
「暇だー……」
時刻は10時49分。普通の生徒は3限目の授業を受けている筈だ。
しかしまあ御守屋が普通に授業に参加するわけもなく、ただ出席日数を稼ぐためだけに登校しているようなものだった。
この学校には、学年末テストで良い点を取り、尚且つ出席日数が足りていれば進級出来るという不思議なシステムがある。さすが私立とでも言ったところだろうか。
そのため御守屋は基本的に学年末テストにだけ焦点を当てていて、普段の中間や期末といったテストには目もくれない。
御守屋は、勉強は不得意ではないのだ。むしろ要領はいいし教科書を見れば大体理解出来てしまう。
ただ嫌いなだけなのだ。ただあることを境に、大嫌いになっただけなのだ。
「あー……つまんねぇ」
御守屋1人しかいない広い屋上。その声はどこかに響くこともなく消えていった。
グラウンドでは、体育祭を控えて同学年の男子が組体操の練習をしている。絶対に参加したくないと毒づきながら、御守屋はもう1度暇だと呟いた。
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