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一方、英語科準備室。
英語教師と言っても、迅玄は英語しか教えない訳では無い。前任校では理系分野で教鞭をとっていた。
そのため迅玄は、補習や講習に良く呼ばれる。今回の御守屋の補習も、英語だけでなく数学や物理も教える予定でいた。
「とは言っても、遅れ具合が分からないとな」
受け持ちのクラスがないこの時間を無駄に過ごすのも躊躇われ、迅玄は職員室に足を運ぶ。
途中に図書室付近を通ると自習生徒が質問に来たので、それを受けつつ職員室を目指した。
目的地に着いて自分のデスクに腰掛けると、迅玄はパソコンを立ち上げる。目的はもちろん、去年の御守屋の成績を知るため。
大勢の生徒の名前が羅列されたデータベースの中から、迅玄は御守屋のファイルを開いた。
そこから更に、学年末テストの情報を選択する。
「……は?」
目に入ったのは、考えようのない高得点。
学年末テストは1年間で学んだことをまとめて確認することが目的であるため、公式や用語を忘れている事もある。
しかし御守屋は、忘れるどころかそもそも授業を受けていないので学習していない筈なのだ。
それなのに、全教科90点超え。優秀な生徒でも取り難い点数。
「なら何で……」
範囲が10教科に及ぶ学年末テストにおいて、その全てをカンニングする事は考えられない。そして第一、そんな事をしてこんな得点を得られる訳が無い。
けれども学年末以外のテストでは、迅玄がよく知る落ちこぼれた点数の羅列。
学年末で高得点を得る程なら要領はかなり良いはず。
なぜ殆どのテストをまともに受けないのか、何としてでも御守屋を問い詰めようと迅玄は心に誓った。
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