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11 sideラウト
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少し泳ぐと人魚はぐっと力を込め、上に上がった。海面に顔を出すとラウトは人魚に声をかけた
ラ「すまない、助かった」
「僕が助けたんだから死ぬのは許さないからね」
そう言いながらラウトを浅瀬の方に運ぶ
ラ「ああ、勿論だ」
「此処ならもう足つくよね、それじゃあ」
ラ「あっ、おい、待てよ!」
ラウトは海に潜ろうとする人魚の腕を掴んだ
「痛っ!」
ラ「わ、悪い…」
ラウトはパッと手を離し、その手をどうしていいか分からなかったので頬をかいた
そうだ、コイツはこんなに細いんだ。アイツらと同じように接してたら怪我させちまうよな。気をつけねぇと
けど、加減すんの難しいな…
「じゃあ僕もう行くね」
ラ「なあ!お前の名前教えてくれよ!」
せめて名前だけでも知りたい。好きなヤツの名前も知らないとかありえねぇし…
「………ない」
ラ「え?」
何て言った…?もしかして、教えないって言ったのか?……マジか…
「僕に名前はないよ。…じゃあね」
はぁ!?おいおい嘘だろ…!
ラ「ま、待ってくれ!あと1つだけ」
「…何?」
ラ「また会えるか?」
頼む…
「………」
ラ「やっぱり無理か…?」
ラウトが諦めかけていたその時だった
「……これあげる」
人魚がそう言って自分が身につけていた耳飾りの片方外して差し出してきた
ラ「え?」
「お守り。僕が作ったやつだからそれ持ってたら
会えるんじゃない?」
ラ「っ…ありがとう」
すげぇ嬉しい。もう正直ダメかと思った…
「別に…付け方わかる?」
これが耳朶の部分だろ?他のやつは…無理だ、どこに付けるのかさっぱりだ
ラウトは耳飾りを見てすぐに人魚に視線を戻した
ラ「すまない、分からない…」
あはは…と笑うラウトに人魚は、はぁ…とため息をついた
「…貸して、付けてあげる」
ラ「すまないな」
人魚は耳飾りを受け取るとラウトの右耳にそれを付け始めた
やっぱり細ぇな…
「…サメの牙は僕にとってお守りなの」
ラ「お守り?」
あの牙はサメのだったか…あとついてたのは、珊瑚とホワイトパール、ブラックパール。あと青い石か…あれは何の石だったっけな?
「海のあらゆる危険から身を守ってくれるの」
ラ「そうなのか?」
「貴方海賊でしょ?海賊って争ってすぐに
死んじゃいそうなイメージだしさ
それにさっき、許さないって言ったでしょ?」
つまり、これは俺が死なないようにって…俺の心配をしてくれた…のか?
ラ「っ!…ああ、そうだったな……」
…やべぇ、すげぇ嬉しい
ラウトはふわりと微笑えんだ。人魚の表情は変わらなかったが、代わりに耳が少し赤くなっていた
可愛いな…
「付けたよ。それじゃあ…」
ラ「ああ、またな」
次会った時にアイツに名前をつけてやりてぇな。考えとくか。どんなのがいいだろう…
ラウトに背を向けて潜ろうとする人魚だったが、ピタリと動きを止めた
ラウトがどうかしたのか?と聞くと、人魚はラウトに背を向けたまま言った
「……その青い石さ、人間の間で人魚石って
言うらしいの………失くしたらもう会わないからね」
ラ「失くしもしなければ盗られもしねぇよ
これは俺の宝だ」
ラウトは自信満々に人魚に言うと、人魚はチラリと振り返った
その頬は少し赤くなっていた
「っ…あっそ!またねラウト!」
人魚は今度こそ海に潜った
「なんで俺の名前っ!」
…………やべぇ、今ので完全に落ちたわ、俺…
ラウトの顔は真っ赤に染まり、唇が緩んでいた。そして、それを隠すように口元を手で抑えていた
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