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31 sideラウト
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引き上げられたそれをみた船員はザワついた
ラウトはそんな船員をかき分け引き上げられた者を見る
そして、それを見た瞬間ラウトは固まった
そこに横たわっていたのは見るも無残な人魚の姿だった
鱗の殆どが剥がれ落ち、ヒレはボロボロに裂かれていた
しかし、上半身はもっと酷かった
至る所の皮や肉が削ぎ落とされ、抉られていた。そして、左腕は肩から下の全てが欠損していた
鼓動が早くなり、息が上がる。寒さも加わり、体の震えが止まらない
すると、急に前が真っ暗になる
レ「違うよラウト。大丈夫。彼じゃない
彼の髪はプラチナ色だったろ?この子は金色だよ」
暗闇から聞こえてきたのは、落ち着け、と言うレイリスの声だった
ラ「カイルじゃ、ない……。そう、だよな…違うよな…」
レ「そう。違うよ。全くの別の子だよ
それに、この子は女の子だよ」
ラウトは大きく息を吐いた
レ「落ち着いた?」
ラ「…ああ。もう、大丈夫だ。すまなかった」
レイリスは、どういたしまして、と言って手を離す
改めて見た人魚は確かにカイルではなく、別人だった
ラ「息は?」
レ「微かに。今、処置を施してるよ」
ラ「そうか」
切り替えねえとな…。俺がこんなんじゃ、仲間全員が不安になっちまう
ラ「おい!手の空いてるヤツら全員、綺麗な布と
温められるものをありったけ持って来い!」
ラウトの指示に船の上がまた慌ただしくなった
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ラウトは医務室の簡素なベットの上で、小さく胸を上下させて眠る人魚を見つめていた
その上半身にあった傷は船医の手によって多少無理矢理に縫った部分もあるが、綺麗に縫い合わされており、包帯が巻かれていた
そして、鱗の部分にはカイルが言っていたことを思い出し、布を海水で湿らせ巻いていた
あの後、ラウトはシュカと何名かの船員にこの島にある小さな町に向かわせ、最近の出来事や事件について調べさせた
シュカ達の情報によると、人魚の目撃情報とともに人魚狩りの情報も出ているらしい
その血は不老、肉は不死、鱗には不治の病を治してしまう程の力があると噂されていた
この話を聞いたシュカやレイリスをはじめとしたアミークスの全船員が怒りを露にした
しかし、ラウトは噂よりも自分の感情が不愉快だった
…この傷を負ったのがカイルじゃなくて良かったなんて思うとか………最低だな、俺…
船医「船長。もう休まれては?
あとは、俺が見とくんで」
ラ「いや、せめて目を覚ますまではここに居る
すまないなハイドラ」
ハ「いや、俺は俺の役割を果たしたまでだし
……それにしても、こんな細くて小さな体の子に、
しかも女の子にこんな酷いことをするなんてな」
一生のトラウマものだよ、と言うハイドラにラウトは、そうだな、と返した
その時、ベットで眠る少女が小さな呻き声とともに目を覚ました
ラ「目ぇ覚めたか。体は平気か?」
少女はゆっくりとラウトに目を向けた。そして、暫く見つめると目を見開いた
そして、起き上がり体を捻る。この場から逃げようと動き、もがいたのだ
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