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夜が明け、太陽の位置がてっぺんになった頃。アミークスの船は目的地に到着していた
船上はほとんどの船員が甲板に集まり、カイルの無事を祈って見送るところだった
ラウトがカイルを抱き締める
ラ「じゃあ、気をつけて行ってこいよ」
カ「うん。ちゃんと戻ってくるから心配しないで」
カイルもそれに応え抱き締め返し、離れた
そして、シュラウドを掴み、ラウトに手伝ってもらいながら船の縁の部分に立った
さてと
カイルはシュラウドから手を離し、着ていたワンピースを脱ぎ捨てた
ラウトを含め、それを見ていた全船員がギョッとしていたのを海に飛び込んだカイルは知らない
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
岩が見えてきたし、そろそろ海溝があるはずなんだけど…
地形は…久しぶりに来たけどあまり変わってないね。苦戦せずに済みそうで良かった
海水に触れ、人魚の姿に戻ったカイルは、自分の記憶を頼りに目的の場所に向かう
道中大型魚類を何匹か見かけたが、特にカイルに干渉することなく悠々と泳いで行った
今回は絡まれなかったからすんなり来れたけど、本当に問題なのはこれからなんだよねー…
カイルの視線の先には岩の割れ目に向いていた
うわー…相変わらず真っ暗だ…。あんまり見えない中で面倒なのとは鉢合わせませんように…
そう祈ってカイルは大きな海溝の暗闇に体を滑り込ませてた
確か…この辺りに……
目を凝らして辺りを探していると、カイルはお目当ての物を見つけた
「あっ」
あったあった。とりあえず、多めに持って行っておこっと…
カイルは岩の窪みに溜まった砂の中に埋まっていた目当ての鉱石を手に取り、腰にぶら下げていた袋に目的の鉱石を詰める
相変わらず気味悪いとこだなぁ
視線の先には魚の骨。それは至る所に散らばっており、中にはまだ肉片の付いた物も落ちていた
もっと下に潜らないと鉱石は無さそうだな…
そういえば、この海溝の最深部行ったことなかったな…まぁ視界が完全に奪われるだろうからわざわざ行く必要ないけど
カイルは下に下にと泳ぎながらそんなことを考える
そして、その途中の岩に埋まっている鉱石を拾った石で掘り出したり、岩の出っ張りに振り積もった砂の中から掘り出したりなどして鉱石を集めて行った
これだけあれば治す分は足りるよね…?共鳴もできるって言ってたし…
よし、先を…っ!
顔を岩から海底に向けた瞬間、カイルは息を詰まらせた
自分を目掛けて泳いでくる大きな影
薄暗い中でも白く鋭い歯が見える程、そいつは目と鼻の先までら来ていた
食われるっ!
カイルは勢いよく海溝の入口に向けて泳ぎ出す
っ…油断してた
こんな至近距離に来るまで気が付かないなんて!
これが、魔女の言ってた代償の内のひとつ…結構ヤバいかも
カイルは泳ぎながら視線を背後に向ける
そこには5mをゆうに超える鮫が猛スピードで追いかけてきていた
細い隙間はないし、このまま海面まで泳いでも行き場がなくて追いつかれて食われる
船は碇を下ろしてるだろうから、それを使って…いや、それだと船を巻き込むことになる…
それに当たりどころが悪ければ沈没…それは絶対にダメ
……一か八か、海面ジャンプして思いっ切り方向転換して、何かしらの助けが来るまで時間を稼ぐしかないか
その時にテティスにこの状況が伝わってくれれば…
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